決闘

ワシは知らない男の手首を掴んだ。


「何しやがんだてめぇ!」


「何するも何も許可なくおなごの尻を触る触るのはいかんな」


「おなご?意味わかんねぇこと言ってねぇで手を離しやがれ!」


「ほれ」

ワシは手を離し男は掴まれた部分を触っている。


「ゴンベイどうしたの?」


「リリスの尻を無断で触ろうとする輩がおっての。それを阻止しただけじゃ」


「ありがとうゴンベイ!」

リリスは抱きついてきた。 


「おいそこの女、そんな冴えない男は辞めて俺にしろ。

俺はAランク冒険者のバリール!

俺の女になればこの街で大きい顔ができるぜ!」


「嫌よ。わたしはゴンベエの女なのよ。

Aランク如きで威張っている坊やはママのところにおかえり」


「てめぇちょっといい女だからって調子に乗りやがって!


おいお前俺と決闘しろ。

勝った方がその女を手に入れる。

どうだ?」

リリスを睨みつけた後ニヤリ笑い、馬鹿なことを提案してきた。


「バリール様、その方は冒険者ではございませんので決闘は許可できません。

さらに冒険者ではない方を傷つけた場合、一ヶ月の間ギルド証の資格を停止します」


「受付風情が俺に意見するな!」

男は腰に差している剣を抜き、受付と呼ばれるおなごに向けた。


「バリール様そのような行為は冒険者ギルドで禁止されています!

すぐさま辞めてください!

辞めないと除名処分にしますよ!


ひぃ」

男はさらに剣を近づけた。


「バリールとやら、決闘を受けてやろう。

じゃからそのおなごに向けた剣をおろせ」


「なるほどな、おなごというのは女のことか。

まあそんなことはどうでもいい。

じゃあ今からやろーぜ」

バリールとやらは剣を腰の鞘に戻した。


「構わぬ。場所はどこでやるのじゃ?」


「冒険者ギルドには訓練をするところがある、そこでやる。

おいおめーらこの男と訓練所で決闘をやるぞ!賭けをするならオレに賭けな!


じゃあ付いて来い」

バリールはオレに背を向けて歩いていく。


「リリス、景品のような形にしてすまんの。

ワシはおなごに剣を向けるものは許せんのじゃ」


「別にいいわよ。でも負けないでね、わたしはゴンベエのそばを離れたくないの」

そう言って抱きつく力を強めた。


「安心せい、あのような輩に負けるほどワシは弱くはない」


「ゴンベエ一応言っておくけど、殺しちゃだめよ」

レベッカに注意された。


「かっかっかっ!

確かにそれが一番難しいのぅ!

ではあの者に付いていくかの」

バリールという輩は少し遠くでワシ達が来るのを待っている。

三人でそこに向かい訓練所と呼ばれるところに案内された。


「冒険者じゃないから決闘のやり方は知らないだろ、特別に説明してやる。


決闘は冒険者同士が諍いを起こした時に行われるものだ。

ルールは本物の武器を使い、スキルも使用可能。傷はつけてもいいが殺しは無しだ。

安心していいぜ、死ななきゃどんな傷でも治してもらえるからよ。

まあ金はかかるがな。

理解したか?」

ワシは刀に左腕を乗せて聞いている。


「つまり殺さなければなんでもありということじゃな?」


「そういうこった、じゃあ特別に先手は譲ってやるぜ」

ワシ達のいる訓練所には酒を飲んでいた者達が集まって賭けをしているようだ。

ワシの倍率と呼ばれるものは百六十五倍と言っている言葉が聞こえた。


「先手を譲って貰えるとは懐かしいのぅ。

ではお言葉に甘えることにするかの」

ワシは懐から扇子を取り出しバリールに向けた。


「待て、それで戦うつもりか?」


「そうじゃが?」


「前言撤回だ!舐めやがってぶち殺す!

はああああああああ」

剣を抜きワシのもとに向かってくる。

バリールは左手の掌が見えるように腕を肩の高さに上げてワシに向け、右手に剣を持ち肘を折り曲げ、肩の高さに上げて剣の鋒をワシに向けている。


「ルールで殺していかんとさっき言っておったんじゃが」


「死ねぇ!」

バリールは左腕を後ろに引くと共に右腕を前に出した。

剣はワシに向かって近づいてくるが、ワシの間合いに入った時に扇子で剣の腹を軽く叩き剣の軌道を変えた。

剣はワシのいないところを突いた。


「何をした!くそ!

オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!」

バリールは振り下ろしたり横薙ぎしたりまた突いてくるが、その度扇子で腹を叩き軌道を変え続け剣はワシには当たらない。


「さてはスキルだな!

じゃあ近づかなきゃいいのか!」

バリールは後ろを飛び引いた。


「くらいやがれ、『月爪』」

バリールは剣を上から下に振るうと、三日月のようなものが三つ並んでこちらに向かってきた。


「ほう面白い、受けてみよう」

ワシはその攻撃を受けた。


「やったか!なに無傷だと!」

攻撃を受けたせいで煙少し舞い、それを扇子を開き吹き飛ばすと驚いた顔をしたバリールがいた。


「その程度かの?もっとすごい攻撃はないのかの?」


「本当に俺を舐めているみたいだな!

もう手加減してやれねぇぞ!


『竜月爪』!!」

だんじょんで見たれっどらごんのようなものが、バリールがワシに向けている剣から出てきて、ワシにを見ている。


「これは俺の最大の攻撃力を誇るスキルだ!

これを俺に使わせるとは災難だったな。

自分の行いを後悔しろ!

行け竜月爪!」

トカゲばワシに向かってきて、腕を振り上げた。


「えいらんく冒険者の最大の攻撃力を誇るスキルか、どれ指針としてこれも受けておこうかの」

振り下ろされる腕を普通に受けた。


「はっはっはっはっ!

これでてめぇの負けだ!あの女はいただいていくぜ!」


「それは困るのぅ。リリスはお主如きにやれん」

また煙を扇子で振り払う。


「なんで無傷なんだ、、、何をした!

なんのスキルを発動したんだ!」


「スキル?そんなもの使っておらん、ただお主の力が弱かっただけじゃよ。

どれ、えいらんく冒険者の力量が分かったので終わりにするかの」

ワシは開いたままの扇子を持ちバリールに一瞬で近づいた。


「春日流扇子術、『新骨落とし』」

扇子を高速に閉じてその衝撃を頭に中に叩き込む。

叩き込まれた者は脳が揺れ気絶する。


「あ、あ、あ、」

男を抱く趣味はないのでバリールは地面倒れ込んだ。


「ゴンベエ殺しちゃったの?」


「手加減したから生きておるわい」

レベッカがこちらに来て聞いてきたので答えた。

ワシが勝ったのでバリールに賭けていた者達は蹲って後悔している。


「ゴンベエ、これでわたしを手に入れたわよ。どんなことしてくれるのかしら?」

リリスが抱きついてきて言う。


「リリス!抱きつくのは許すけど、それ以上はだめよ!」


「抱きつくのはいいのね?じゃあ今日の夜はゴンベエに抱きつくわ」


「リリスあなた絶対に解釈を変えて言ってるわよね!

だめだからね!」


「あらばれちゃった。

そんなことよりこの決闘は終わったけどこの後どうするの?」


「決まっているだろ!Aランク冒険者に勝利した君には、ギルドマスターである俺と話をしてもらう」

敵意はないので放置していた男が近くに来てそう言った。



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