冒険者ギルド
「ゴンベエその頬どうしたの?」
「ちょっとの」
ワシは赤くなっているヒリヒリする頬を撫でながら答える。
どうやら寝ている最中にレベッカの胸元から手を入れて直接触っていたようだ。
それに怒ったレベッカに頬を叩かれるが、
そのまま受けるとレベッカの手が傷つくので防御を解き叩かれた。
そのせいで昔よく遊女にやられたように赤い手形がワシの頬についた。
「レベッカもしかしてゴンベエ下手だったの?」
「下手ってなに?」
「え?まさか何もしなかったの?」
「されたわよ。胸を直接触られたわ」
「それだけ?」
「そうだけど」
「はぁ。
せっかく昨日お膳立てしてあげたのに何もしていないなんて。
ゴンベエ不能なの?」
ため息を吐いた後ワシに聞いてきた。
「そんなわけないじゃろ。
レベッカが嫌じゃと言うから抱かんかっただけじゃ」
「わたしの番はいつ来るのかしら、
レベッカお願いだから早く抱かれて。
1人じゃつまんないのよ」
「ていうかリリス!人が往来している所で変なこと言わないでよ!
ほらみんなが見ているじゃない」
「それはレベッカが大声を出したせいよ、
皆さんごめんなさいねなんでもないのよ」
リリスが愛想を振りまいてこちらを見ている人たちに手を振る。
振られた人は興味を無くしていった。
「もう!なんで私が悪者みたいになっているのよ。
悪いのは変な話をするリリスなのに」
「レベッカあまり気にするな、リリスはああいう子なんじゃよ。
産まれてから友という者がおらんらしくてな、レベッカにどう接すればいいか分からんのじゃよ。
少しずつ普通を学び、普通になってゆくから見守ってくれると嬉しいの」
「じゃあリリスは私と友になりたいと思っているってこと?」
「そうじゃ」
いまだに手を振っているリリスを見てレベッカに言う。
「2人ともどうしたの?」
視線に気づいたリリスが聞いてきた。
「なんでもないわ。
さっ早く冒険者ギルドに向かうわよ」
「ゴンベエあの子どうしたのかしら?
なんかすごいやる気になっているんだけど」
「かっかっかっ!
素直で可愛い子じゃのレベッカは。
リリスワシらも向かうぞ」
「よく分かんないけど、分かったわ」
ワシらは前にいるレベッカを後を追った。
「ここが冒険者ギルドよゴンベエ!リリス!
荒くれ者どもがいるから気をつけてね!
特にリリスは色気がすごいあるから絶対絡まれる!
行くのやめない?」
冒険者ギルドと呼ばれる所の前に着いた。
「ゴンベエとレベッカも行くんでしょ?
じゃあ行くわ。
ゴンベエちゃんとわたしを守ってね」
「指一本も触れさせんから安心するといいのぅ」
「ゴンベエ!」
リリスは自分の腕をワシの腕に絡ませてきた。
「リリス、もっとゴンベエにくっつきなさい!
ゴンベエも必ずリリスを守ること!
いいわね」
「分かっておる」
「よろしい!
じゃあ冒険者ギルドに入るわよ!」
そう言ってレベッカは一人だけ冒険者ギルドに入った。
「ゴンベエ、今レベッカがもっとくっつけって言ったわよね?
何か変な物でも食べたのかしら?」
「リリス入るぞ」
「うん」
ワシ達も冒険者ギルドに入った。
中の様子は壁に依頼が書いてあるのを見ている者と、木で作られたコップに酒のような匂いの液体を飲んでいる。
レベッカは何やら揉めているらしく大声で何か喋っている。
「どういうことよ!
なんでギルド証が抹消されているのよ!
まだ抹消されるまでの期間は残っているでしょ!」
「申し訳ありません。
重大な違反を起こした冒険者は抹消される決まりになっております。
レベッカ様はわざとトラップを発生させて、Aランクパーティーを危険に晒したと報告があります。
これは重大な違反に該当します。
ご了承下さい」
「違うわよ!Aランクパーティーの人が罠にかかって、私を囮にして逃げたのよ!
だから重大な違反をしたのはあいつらよ!
私なんてレッドドラゴンと戦う羽目になったのよ!」
「申し訳ありません。
それが事実だった場合、レベッカ様は生きて帰ることができないと判断します。
そのような事実無根なことを仰り続けた場合、冒険者ギルドに登録することを禁止にさせていただきます」
「本当なの!
ゴンベエちょっと来て」
呼ばれたのでリリスとレベッカの所に行く。
「話は聞こえたわい。
これを出せばええんじゃろ」
次元袋からトカゲの牙を取り出した。
「これがそのれっどどらごんというトカゲの牙じゃ」
「レッドドラゴン?
失礼、鑑定します。
『鑑定』
ほ、本物!まさかレッドドラゴンを討伐したんですか?」
「このトカゲならワシが倒したぞ。
だんじょんと呼ばれる場所に来たらレベッカが足に刀傷を負っておっての。
助けたんじゃ。じゃからレベッカの言っていることは事実じゃよ」
「確かにレッドドラゴンは本物です。
ですがレベッカ様の言っていることが事実だという証拠にはなりませんし、貴方様はレベッカのお仲間とお見受けします。
その証言を間に受けるわけには行きません」
「困ったのぅ。
確かスキルという物があるんじゃろ?嘘を見抜くスキルはないのか?」
「申し訳ありますせん。
そのようなスキルをお持ちの方は王都にしかおりませんし、貴族様達に雇われております。
ですのでスキルによる真偽を証明することは不可能です」
「そんなー」
レベッカは受付の机の上で項垂れた。
「わたしがスキルを使って見極めるわよ」
リリスがレベッカの隣に行き、受付の人に話しかけた。
「まさか判定のスキルをお持ちなんですか?」
「待っているわよ、鑑定してみて」
「『鑑定』、確かにお持ちですね。
ですがお仲間のスキルでは信用性がありません」
「ゴンベエわたしのバック出して」
ワシは次元袋からリリスのバックを取り出した。
「ちょっと待ってねー、
はいこれ!制約の製紙。
これを使えばわたしが本当のこと言ってる分かるでしょ」
「『鑑定』、確かに制約の製紙です。
分かりましたでは宣誓を行ってください」
「宣誓します。わたしリリスは嘘偽りのない言葉をはきます」
制約の製紙は光り輝いた。
「ありがとうございます。
ではレベッカ様、もう一度先程の事実と思われる事をお話ください」
「分かったわ、Aランク冒険者パーティーの人が転移する罠にかかった後、私を囮にするために足を剣で斬られて、レッドドラゴンと戦う羽目になったわ。
そしてゴンベエに助けられたわ」
「『判定』全て事実よ」
「確かに制約の製紙も破れてません。
レベッカ様この度は申し訳ありません、
こちらの落ち度でございます。
どうやらAランクとCランクの冒険者の信頼性で判断してしまいました。
今すぐに抹消を解除し、Aランク冒険者パーティーを除名いたします。
本当に申し訳ありませんでした」
受付のおなごが頭を下げてくる、ワシは胸元が少し見えたので嬉しかった。
「大丈夫よ!ちゃんと分かってもらえたんなら。
リリスありがとね、見直したわ」
「べ、別に困っているから少し協力してあげただけだし。
お礼ならゴンベエに早く抱かれなさいよ!」
「またそんな事言って、素直じゃないなーリリスは」
「ちょっとやめなさいよ!」
レベッカはリリスに抱きついていた。
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