リリス

「あらありがとう」

リリスは貢物を受け取り片目を閉じ目配せする、された相手はビクッと一瞬反応して座り込んだ。


「ねぇゴンベエ、リリスに何があったの?日を追うごとにリリスを見るとなんかすごい魅了されるんだけど」


「それはリリスの力が増したんじゃよ」

リリスの周りには老若男女の人々が群がっていて、人々からいろんな物を渡されている。

そしてお礼に片目を閉じ目配せをすると先程のように一瞬反応して座り込む。

中には白目を向いて倒れこむ人もいた。


ワシらの悪い噂はリリスのおかげで払拭された、ワシと交わったことでサキュバスであるリリスの力が増し、人々を魅了していったからだ。


「すみませんがもう少し離れてくれませんか?リリス奥様に触れていいのは我が主だけなので」


「ああ、すまない」

ファルシーがリリスに触れようとした男とリリスとの間に入った。


「なんかファルシーさんリリスの護衛みたいね」


「まあワシが命じたからのぅ」

流石にワシのおなごになったリリスが皆に囲まれるのを危惧したので、ファルシーに護衛を命じた。

リリスに触れてよい男はワシだけだから。


「ふーん、ゴンベエ知ってる?リリスのファンクラブがあるんだって」


「ふぁんくらぶとはなんじゃ?」


「うーん簡単に言うと好きな人が幸せに過ごせるようにお金や品物を送ったり、ファルシーみたいにリリスの身の回りを守ったりする団体かな」


「何とも不思議な団体じゃのぅ」


「ちなみにメリサちゃんとアリサちゃんのファンクラブもあるらしいよ」


「それは、、、いかんのぅ」


「ゴ、ゴンベエ顔が怖いよ?」


「すまん、幼な子を好きな連中などいかんじゃろう」

どうやら怖い顔をしていたらしい。


「えーと昔に召喚された勇者様が、イエスロリータノータッチという協会を作ったんだって、それでこの世界では幼女を恋愛感情ではなく、見守る事を前提としてファンクラブを作る事を許されたらしいよ」


「ふむ、ワシはよく分からん」


「私も分からないわよ、でもメリサちゃんとアリサちゃんが可愛い事だけは分かるわね」


「それはそうじゃな」

メリサはワシと同じように髪を後ろで結んでいて、歩くとゆらゆらと左右に動きとても可愛い。

アリサは長い頭髪左右の中央でまとめ両肩掛かる長さまで垂らした髪型をしている、この髪型も小さくゆらゆら揺れて可愛い。


「まあ悪さする奴がおったらリリスに報復されるから大丈夫じゃな」


「そうね、私も最近までリリスの怖さ分かってたはずなのに、今はまったく分からなくなったわ」


「そんな不安そうな顔をするでない、レベッカはもっと強くなるんじゃから」


「アレをして?」


「それは内緒じゃのぅ、じゃがこの迷宮都市を出る時には自分で気づくじゃろう」


「そっか、ゴンベエが言うならそうなんだね、明日は私もダンジョンに行かないと!」

胸の前に右手を手を握り締めてレベッカが言う。

銀の守護騎士団が迷宮都市最強と噂されるようになったおかげで、ダンジョンに入れるようになった。

今日はクレア、アルサ殿、アルミール殿がローニャの付き添いでFランクダンジョンに入っている。


ローニャは筋が良くすぐに魔力操作を会得し、本人の頼みでダンジョンに挑戦する事になった。


クレアは安心感を与え、アルサ殿は戦闘する姿を見せ、アルミール殿はもしもの時の護衛だ。

ちなみにカリンは宿の板場で料理の修行をしていて、メリサとアリサはフィーライヌがお世話している。


そんな事を考えているとリリスの厄運が面倒事を呼び寄せたようだ。


「あら何の御用かしら?」

銀色の甲冑を身に付けた五人組が強引にリリスの目の前に現れた。


「決まっているだろう!お前のような娼婦が昼間に出歩くなど許されん!」


「それは娼婦を馬鹿にしているのかしら?」


「娼婦など汚れた存在だろう!馬鹿にされて当たり前だ!」


「ふふふ、随分と可愛いことの言うお子様ね、娼婦は立派な職業よ。貴方達も一度体験してみたらいいんじゃないかしら?」


「ふざけるな!我々銀の守護騎士団がそのような汚れた者達と触れ合うなどありえん!それと我らをお子様だと!我らを侮辱するのか!」


「先に女の仕事を侮辱にしたのは貴方でしょ、他人を侮辱して自分が侮辱されると逆ギレする、本当にお子様ね」


「き、貴様!貴様に決闘を申し込む!」

顔を真っ赤にしてリリスを指差す。


「あら屈強な男がか弱い女に決闘を申し込むなんて情けないわ」

リリスが身体を抱きしめながら言う。


「う、うるさい!貴様は俺を侮辱しすぎたんだ!その代償を払ってもらうだけだ!」


「まあいいわ、ほらおいで」


「ここでは皆に被害が出る!我らの拠点に来てもらおう!」


「ねぇ、ファルこれって罠かしら?」


「罠ですね、元銀翼の騎士団の決闘場にはメンバーが有利になる魔法陣がありますから」

聞かれたファルシーが答える。


「我らを裏切った者は黙ってもらおう、決闘を受けたのだから着いてきてもらう!まさか今更逃げるなどしないだろう?」

銀の守護騎士団所属と思われる五人組が剣を抜きリリスに向ける。


「本当にお子様ね、いいわよ遊んであげるわ」

ワシをチラッとみた後リリスはそう答えた。


「たしかゴンベエと言ったな、手出しをするなよ」


「見るのは構わんな?」


「せいぜい傷つく自分の女をゆっくり見るといい」

ニヤニヤしながらワシに言ってくる。


彼らの案内で前に来た拠点に案内され、決闘場と呼ばれる場所に案内された。




「お座り」


「はい!」


「これからはわたしに従いなさい」


「はい!リリス様!」

五人組の男達は跪きリリスにこうべを垂れた。


決闘場の観客席はオークションのように段差になっており、どこに座っても観れるようになっていた。

銀の守護騎士団に所属している人々が決闘を見ている。もちろん五人組を応援している。


決闘が始まると勝負は一瞬で終わった、五人組がリリスの黒い気の中に桃色の光の粒が入ってる気に触れると動かなくなった。


そして今リリスの命令により忠誠を誓わされている。


「ねぇゴンベエ、リリスが怖いんだけど」


「レベッカ、それは正しい感覚じゃ」

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