エリナーデ

「はぁ、はぁ、はぁ、そなた妾に何をした?あれだけして何故お主は死んでおらん?」

いつも冷たいエリナーデは人間のように温かくなっている。


「エリナーデにワシの生命を大量に注ぎ込んだだけじゃよ、そしてエリナーデの器を上回っただけじゃ」


「妾の器を上回るだと」


「そうじゃ森の主いや、レベッカ達のいる世界の生命の神よ」


「気づいておったのか、まさか神である妾の器を超えるとは」

初めて会った時にはすでに分かっていた、エリナーデはレベッカ達がいる世界の生命と深く繋がっており、世界に生きているものに対し生と死を繰り返す事で世界の生命力を循環させている。


それを管理するエリナーデの生命力は全てその事に使われているので、エリナーデはいつも生命力不足に陥っていた。 


本来なら信仰によってその生命力不足は補われていたが、時が経つにつれて信仰する者達が減り、最近はギリギリの状態で管理していたようだ。


「久しぶりに妾の身体が昔のようになっている、これなら神界に戻れるかもしれない」


「神界のぅ、エリナーデが居なくなってしまうのは寂しくなるのぅ」


「強き者、妾はやるべき事があるんだ、もうほとんど信仰しなくなった妾の代わりになる者が必要なんだ」


「そうか、神とは悲しい存在じゃな」


「そうでもない、そなたのような強き者に会えたからな」


「エリナーデは素直になったのぅ」


「う、うるさい!いいから強き者!」


「ああ、おいでエリナーデ」


「妾をもっと満たしてくれ」

ワシの腕の中にきたエリナーデを抱きしめる。

レベッカ達がいる世界に換算すると一ヵ月経った。


「エリナーデそろそろレベッカ達の世界帰るとするかのぅ」


「ええあなた、戻ったらすぐに妾は神界に行くことになりますわ、でも必ずあなたのもとに戻りますわ」


「エリナーデの口調は随分変わったのう」


「それは違うますわあなた、元に戻ったと言ったほうが正しいですわ。遥か昔には女神として信仰されてましたのよ、このような喋り方にもなりますわ。

あなたと出会った時は森の主としての信仰でしたので、あのような喋り方になりましたの」


「信仰によって色々変わるんじゃのぅ、神とは不思議な存在じゃ」


「妾もそう思いますわ、さああなた戻りましょう」


「そうじゃな、では妖術『元界』」

ワシ達はワシが泊まっている部屋に戻った。


【ではあなた、しばしのお別れですわ】

ワシの唇に接吻をした後光の粒に変わり、そして消えた。


「妖術『録』これでもしもの時はなんとかなるじゃろう、さてワシも寝る事にするかのぅ」

ベッドに寝転び目を閉じた。


「ゴンベエ様!朝ご飯の準備ができました!」

朝になり桜がワシを呼びに来た。


「今日も起こしてくれてありがとうのぅ桜、もう仕事に慣れたか?」


「はい!女将様やお客様にも良くしてもらっています!」


「そうかそうか、それなら良いんじゃ」


「今日はメニューはトラフトシュバの肉団子スープと海鮮サラダとAランクダンジョンで取れたコメと呼ばれる白い粒です!」


「コメか、確かにあのダンジョンで取れたのぅ。今日はワシ好みのメニューのようだ」


「はい!女将様にお願いしてそういうメニューにしてもらいました!」


「そうか、ありがとうのぅ」

桜の頭を撫で、桜は目を細め嬉しそうに笑った。


「ゴンベエこっちだよー!」

レベッカが手を振ってワシを呼ぶ。


皆がいる席に座り、良い匂いのする料理を皆と食べ始めた。


「はぁ、これはいかんのぅ」


「どうしたのゴンベエ?」


「特に大した事じゃないワシ以外には、皆ワシは少し女将さんのところに行ってくるわい」


「女将さん?まさかゴンベエ女将さんに手を出す気!だめよ!」


「そうではない、これの作り方を教えにいくんじゃよ」


「コメの作り方?」


「そうじゃ、どれ本当のコメの美味しさをお主達にも教えてやるぞい」

ワシは女将さんのいるところに行き、調理場を貸してもらった。


「おい!本当にこのコメがもっと美味しくなるのは本当か?」


「本当じゃ、お主が作ったお粥も美味いがやはりコメは炊くのが一番なんじゃよ」


「炊く?」


「まあワシに任せておくんじゃ。

ふむ、これを回すと火が出るんじゃな、鍋ににコメと適量の水を入れてあとはあれじゃな。

はじめチョロチョロ、中パッパ、ジワジワ時に火を引いて、ひとにぎりのワラ燃やし、赤子泣いてもフタとるな」


「何だそれは?」


「簡単に言うとな、始めは弱い火で炊くんじゃ、湯気が出始めたら次は強い火で炊くんじゃよ、そして鍋からグツグツと音が聞こえたら火を弱くし、湯気が収まってきおったら最後に一瞬だけ強い火に変えるんじゃ、

そして蓋を取らずにしばらく蒸すんじゃ」


「まったく聞いた事ない調理法だ!

ぜひ見せてくれ!」


「よいぞ」

ワシは言った通りの順番でコメを炊いた、コメは少しおごげの付いた美味しそうに作る事ができた。


「食べていいか?」


「良いぞ」


「では、、、、うーんあんまり上手く感じないな」


「かっかっかっかっ!どれこれと一緒に食べてみぃ」

コメを炊いている間にコメに合う味の濃い物を用意しておいた。


「これはトラウトシュバの照り焼きか、では、、、な、なるほど!

これはパンと一緒なのか!味の濃いこの照り焼きを食べた後ではまるでコメの味が違う!

美味い、美味いぞ!このコメのおかげで照り焼きを食べる手が止まらない!」


「そうじゃろそうじゃろ、どれ皆にも食べさせようかのぅ」

皆に照り焼きとコメをを渡すと皆嬉しそうに食べ始めた、特にカリンが気に入ったようで、おかずが無くても何度もおかわりをしてくれた。


「ご主人様!僕にもこれの作り方を教えてよ!僕はこのコメをもっと色んな人に食べさせてあげたい!」


「よいぞ、では今日の夕飯の時に教えてやろう」


「やった!あっ!リリスお母さん、僕の将来の夢が決まったよ!僕は料理人になってこのコメを使った料理を広める!」


「そう、じゃあ今のうちに美味しいもの沢山食べさせないといけないわね、ゴンベエ」


「良いぞ、金はいくらでもあるからのぅ、好きにせい」


「ありがとう、カリン明日からわたしといろんなお店に食べに行くわよ」


「では私も同行しましょう。悪い噂が迷宮都市に流れていますが、私がいれば何とかなると思います」


「ありがとうファル助かるわ」


「いえ、当然のことですので」

ファルシーはリリスに頭を下げた。


「ねぇゴンベエまだダンジョンに入っちゃだめなの?」


「だめじゃな」

レベッカとダンジョンに入ってから一週間ほどダンジョンに入ってない。


「今ダンジョンに入れば面倒に巻き込まれるからのぅ」


「申し訳ありません我が主」

ダンジョンでは元銀翼の騎士団にいた人達、銀の守護騎士団が迷宮都市最強パーティーと名乗るためにダンジョンに入り浸っている、解散した原因となるワシらとダンジョン内で会ったら恐らく戦闘になるだろう。


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