盗賊
「ハムさん本当にありがとう。
これで今日中に街にに着くことができるわ!」
「いえいえ。
あんな状態のいいドラゴンの牙をいただけてこちらこそありがたいですよ」
ワシ達は村に行商に来ていた、
ハム殿と呼ばれる商人の竜車と呼ばれる小さなトカゲが引いている、
馬車のようなものに乗せてもらっている。
向かっている街は竜車の速さで村から1日で着く距離にあるらしい。
「ハム殿、
他の素材もたくさんあるからの、
街に着いたらお礼にいくつか差しあげよう。
そのかわりうまい酒を譲ってくれんか?」
「もちろんです!
まさかたまたま寄った村でこんな素晴らしい出会いがあるとは思いませんでした!
ゴンベエ様、
もし素材をお売りになる際は冒険者ギルドではなくぜひ私の所属する商会にお売りください。
きっと冒険者ギルドで売ってしまうと定価で買われてしまいます。
あれほど状態のいい素材が安く買われるのは商人として許すことはできません!」
「そうなのかレベッカ?」
「そうね。
私のアイテムボックスでさえ時間の経過が少し緩くなるだけだから劣化するのが普通なの。
だから素材として使える部位が少ないのよ。
いちいちそれを判別して値段を決めるのなんて時間がかかるから、
早く処理できるように値段が設定されているのよ。
冒険者は細かいことは気にしないからそれで納得しているみたい」
「レベッカは納得しておるのか?
お主のアイテムボックスがあれば普通よりいい状態で売れるのじゃろ?」
「うーん、
だからCランクになったようなものなんだよね。
本当の実力はもっと下なんだ」
レベッカは下を向き悲しそうな顔をしている。
「しいらんくといういうのはよく分からんが、
そんなに気にすることもなかろう。
レベッカにはまだまだ伸びしろがある。
すぐに強くなるぞ」
「ゴンベエ本当?」
「戦いにおいてワシは嘘は言わん。
レベッカには足らんものが沢山あるぞ、
今度教えてやるから元気を出せ。
ほら団子をやろう」
「団子!
おいしー!
ゴンベエまさか団子をあげれは私の機嫌が直ると思ってない?」
「思っておるし事実じゃろ。
ほらこれも食べてみよ、
饅頭じゃ」
「これもすごい甘い!
ゴンベエってもしかして甘い物すきなの?」
「いやあまり好きではないな。
おなごはみんな甘味が好きと決まっているからの、
いつか会えた時のために沢山作っていただけじゃよ」
「ゴンベエさん!
いま甘味といいましたか?
ぜひ私にもいただけませんか?」
ワシ達の話を聞いていたハム殿が甘味という言葉に食いついてきた。
「男にやるきはなかったが、
竜車に乗せてもらっておるから特別にあげようかの。
団子という物じゃ」
「なっなんと!
絶妙な甘さと食べまたことのない口当たり!
これは売れます!
ゴンベエ様、どうか私の所属する商会に売っていただけませんか!」
「少しは売ってやるから前を見よ。
商人という奴らはどの世界でも同じじゃな、
じゃが作り方を聞いてこないだけ前の世界の商人よりましか」
御者をやっているハム殿がしきってある布をめくり、こちら向いて言ってきたので注意をする。
「やっぱりゴンベエの団子とかはみんなが好きだったんだね」
「そうじゃな。
おなごに好かれるために試行錯誤して作った物じゃ、
これを使って何人のおなごを抱いたことか」
「私はこんな物じゃ抱かれないわよ!」
「分かっておる。
今はワシの作った物がおなごに食べてもらえるだけで嬉しいいんじゃ。
食べたかったらいつでもいうんじゃよ」
「ゴンベエ様!
饅頭という食べ物も食べてみたいです!」
「はぁ、
レベッカこれをハム殿に渡してくれ」
「ゴンベエが渡せばいいじゃん」
「団子は棒を持って渡せたが饅頭は手渡しじゃろ?
なんか嫌じゃ。
それに手渡しならハム殿もおなごからの方がいいじゃろ。
頼んだ」
「じゃあ私にもちょうだいよね。
ハムさんどうぞ」
「ありがとうございます!
これもすごいですな!
中に入っている黒い物がとても甘いのにくどくない!
これも売れます!
ゴンベエ様これもぜひ!」
レベッカに渡された饅頭を食べたハム殿は興奮して叫ぶが、
今回はこちらを見なかった。
「よいぞ。
饅頭は腐るほどワシは作ったからの、
好きなだけ売ってやる。
そのかわりうまい酒を大量に売ってくれんか?」
「この饅頭の値段に釣り合うお酒が大量に街にあるか分かりませんが、
必ず納得のいくお酒を大量に売りましょう!
私の所属している商会はそれなりに大きいのできっと大丈夫です」
「楽しみにしておるぞ」
次元袋には大量にうまい酒が入っているが、
この世界の酒も気になるのですごく楽しみだ。
「ところでレベッカよ。
前方に集団が待機しておるんじゃが何か知っておるか?」
「多分それ盗賊だと思う。
たまにこの街道に出るって聞いてたから」
「ほう。
盗賊とは愉快じゃの、
どのように対応したらよいのじゃ?」
「お金が欲しいなら生け捕りだけど、
普通は皆殺しかな。
あっでも指名手配されている盗賊の拠点ならお金とか宝がありそうだから、
最初は生け捕りしてくれると嬉しいな」
「レベッカもなかなかいい性格しているのう」
綺麗な顔立ちをしているのに残酷なことを言うとワシは思った。
「私は冒険者なんだよ?
貰えるものは貰わないと!
それに盗賊なんてやっている人なんて人とも思わないよ」
「たしかにそうじゃのう。
ワシもよく襲われたからこの世界の魔物と一緒じゃな。
ハム殿、
まもなく出くわすぞ。
安心しろ、
ワシらはトカゲ、ではなくレッドドラゴンを倒した2人だ。
盗賊など瞬殺できるわい」
「お任せします。
私もそれなりに戦えるのでこちらの心配は無用です」
「ほう、
やはり武人であったか。
得物は槍かの?」
「よくお分かりになりましたね。
一応道場に通って免許皆伝をもらっております」
「ハム殿の筋肉のつき方から判断したんじゃよ。
さてハム殿竜車をゆっくり走らせよう。
何かあって竜車が転倒したら危ないからの」
「分かりました」
ハム殿はトカゲをゆっくり走らせたので、
当然竜車もゆっくり進む。
予想通り道の周りにある森から矢が放たれ竜に当たり、
竜が痛みで止まってしまう
ゆっくり進んでいたので竜車はトカゲにぶつかることなく止まった。
「おい!
竜車に乗っている奴らは全て降りろ!
降りない奴らは殺すぞ」
矢が放たれた場所とそれの逆の場所から、
髭面の男達が汚い服を着て出てきた。
「可哀想なことをするもんじゃのう。
今治してやるからの」
「私を治したように竜も治せるの?」
「当たり前じゃろ。
いい子じゃ、
おーよしよし。
せっかく治したトカゲに矢を放つとは許せんのう」
「がぁ!」
レベッカを治したように3匹のトカゲを治し、
治ったトカゲを撫でているとトカゲに向かって矢が再び放たれたので矢を手で掴み、
弓を持った男の目を狙って投げ、
目に矢が刺さった痛みで男はのたうち回っている。
「よくもやりやがったな!
治癒魔法を使えるから生け捕りにして奴隷にしてやろと思ったがやめだ!
殺してやる!
お前ら男は殺して、
竜車と竜車の中にいる女は頭のもとに届けるぞ!
頭がやったあとは俺たちもあじわえるから期待しようぜ!
歳はそれなりだが、
顔と体は良いからな」
レベッカを見て奴らがニヤニヤしている。
「ワシのレベッカを狙うとは万死にあたいする。
去ね」
刀を使うと余計な物まで斬ってしまいそうなので、
懐から扇子を出しそれで奴らを斬ることにした。
ワシの目には奴らが動きを止めているように見え、
抵抗されることなく腕と足を体から離していく。
ワシが奴らを斬り終え扇子を一度振り、ついている血を振り払う。
扇子をもとの場所に戻しながら奴らの一番後ろで立ち止まった。
奴らは痛みで絶叫している。
「安心せい。
その状態でも決して死なん、
なぜならワシは生物を殺せないようにされているからの」
絶叫している奴らの間の歩きながら伝え、
レベッカ達のもとに戻る。
「ゴンベエなんで盗賊は死なないの?」
「前に言ったじゃろ、
ワシは生物は殺せんのじゃよ。
レベッカがトドメを刺してくれ」
「はーい!
ってその前に尋問してくるね」
レベッカはウキウキしながら盗賊達に命令していた奴のところに走っていった。
「かっかっかっ!
本当にこの世界のおなごは逞しいの!」
だるまのような姿をして、
腕と脚があった場所から大量の血が出ているのに、
恐れることなく話しかけているおなごを見て笑う。
「ゴンベエなんかこいつらの頭が指名手配されているみたい!
拠点に行ってみようよ」
「ほう。
それは面白そうじゃな。
おそらくあっちの方角にあるじゃろうな、
此奴らよりマシな気配を感じるからの」
「場所分かるんだ!
じゃあ全員トドメを刺して向かおう!
ハムさんはどうする?」
「もちろん行きます!
商人としての私の勘がついて行けと言っています!」
「ではハム殿この辺りに竜車を止めてくれるかのう、
ワシの力で守ってやるぞ」
「なんと!
では言われた通りします」
レベッカが盗賊達にトドメを刺して戻ってきた。
ハム殿は言われた場所に竜車を止め、
槍を持って降りてきた。
「ハム殿は槍を持つと雰囲気が変わりますな。
まさに武人よ」
「ありがとうございます!
やはり槍を持つと道場にいた時を思い出して気が引き締まります」
「ゴンベエが言った通りすごく強そうに見えるね」
「レベッカさんもありがとうございます!」
ワシ達に褒められたハム殿は少し照れたようだ。
「お前たちワシが守ってやるからの
妖術『幻界』」
「竜と竜車はどこに行ったんですか?」
「ワシの世界じゃ。
安心せいちゃんと生きておるし好きな場所に出せるからの。
さて行くとしようかな」
あるものを倒したワシは、
ワシが自由に行き来できたり、
ワシが入れたいものを自由に入れられる不思議な世界を得た。
それなりに力を使うので、
めんどくさいから次元袋を普段は使っている。
「そういえばゴンベエなら竜に矢が刺ささる前に防げたよね?
なんで防がなかったの?」
「内緒じゃ。
いずれハム殿が体験するじゃろう」
触れ合って分かったがあのトカゲは賢い。
盗賊に襲われるという雰囲気をあじわい、
痛みで頭に強く刻まれたはず。
次盗賊に出会うと感じたらゆっくり進んで乗っている者に教えてくれるだろう。
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