頭
「ここじゃの」
「ゴンベエ木と草しかないよ?」
「確かにそう見えるようになっておるのう。
おそらく結界のような物が張られておって、
拠点が見つからないようにしておるんじゃろう」
「本当だここから先に進まない」
レベッカがワシの前に出て結界に触りならが言った。
「ゴンベエ様これはおそらく魔道具が使われています。
しかも拠点を隠すほどの物ですから、
おそらくAランク級ですね。
簡単に結界は壊れないでしょう。」
「安心せいハム殿。
こんな物簡単に壊せるわい。
レベッカ後ろに下がるんじゃ」
「はーい」
レベッカが後ろに下がったの確認し結界に右手をつける。
「ふむ。
ところでハム殿そのまどうぐと呼ばれる物は欲しいかの?」
「欲しいに決まってます!
Aランク級の魔道具なんて見たとがないんですよ!
商会に持って帰ったら昇格間違いなしです!」
「承知した。
妖術『吸収』」
ワシは魔道具の場所を感知し右手に引き寄せる。
魔道具とワシの間に壁があっても妖術ですり抜けるようにしているので一直線にこちらに向かってくる。
右手に魔道具が来ると拠点を隠していた結界が吸い取られるように魔道具の中に入っていった。
魔道具は片手でギリギリ持てる大きさの青色の球で、
球の中に白い煙のような物が揺れている。
「ゴンベエ!廃墟みたいな館が現れたよ!」
「あれが拠点じゃな」
「ゴンベエなんでこんな場所に館なんてあるんだろう?」
「知らん。
じゃがこんな人気のない場所に館を建てたんじゃ、
それなりの金や権力を持っておった者が住んでおったんじゃろうな。
この魔道具もおそらくその者が隠れるために使っておったんじゃろ。
使用者がいなくなったため解除された魔道具と館を見つけた盗賊が拠点として使い始めたといった感じじゃな。
まあワシの想像だかな」
現れた館はボロボロになっているが使おうと思ったら使える。
よく見ると修繕された跡も何箇所か見つけたから最近ではなくかなり前から拠点として使っていことが分かる。
「ハム殿戦いの邪魔になるのでワシが預かっておく。
終わり次第渡すので安心されよ。
館の中に入る前に2人に聞く。
あの中で残酷なことが起きている。
それを見る覚悟はあるか?」
後ろにいる2人の方を振り返り聞いた。
「ゴンベエそれって」
「そうじゃ、
あの中で悲惨な目にあっている者達がおる。
おそらく全ておなごじゃろうな。
ハム殿おなごというのは女性のことじゃ。
指名手配されている者のところに2人、
一つの部屋に8人、
地下に囚われている者15人おる。
部屋では汚らわしい行為がされておるじゃろう。
もちろんその盗賊から助けるが正気を保っておるか分からん。
レベッカはおなごだから余計に記憶に刻まれるだろうから入ることはオススメせん。
ハム殿も本来なら来る必要はないしの。
どうするかは自分で決めよ」
「私は行くわ。
ゴンベエ1人じゃ盗賊にトドメさせないでしょ!
それに同じ女として許せない!」
「私も行きますよ。
わたしには娘が2人いますから想像するだけで怒りが込み上げます!
早く助けに行きましょう!」
「ふっ。
では行くかの」
盗賊の奴らは行為に夢中で結界が無くなったことに気がついてないようだ。
館に入る扉の片方が存在せずそこから中に入った。
ワシの耳にはおなごの喘ぎ声や嫌がる声、
男達の荒い息遣いと怒鳴り声とともに何かを叩く音が聞こえている。
その場所に2人を連れて走って向かう。
「レベッカ、ハム殿。
あの部屋じゃ。
まだ正気のおなごがいる可能性があるから斬ることはしない。
妖術を使って部屋の中の全ての者達の意識を一時的に奪う。
盗賊が起きる前におなごを助けだしついでにトドメを頼む」
「了解したわ」
「おなじく」
返答を聞いたワシは扉を蹴破る。
「妖術『波動』」
特殊な振動を相手の脳に当てて気絶させる。
脳に影響でないようにするため少しの間しか効かない。
意識がなくなったのでおなごの上には盗賊が被さっている。
ワシはトドメを刺すことはできないので盗賊をレベッカとハム殿がいる方向にぶん投げている。
盗賊の数は15人、
全ての盗賊がトドメを刺された。
おなご達がトラウマにならないように次元袋に入れ、
次元袋からテントを出しレベッカにおなご達を任せた。
「ハム殿は一応見張っていてくれ。
ワシは指名手配のところに行く」
「わかりました。
他の場所にいる盗賊が来るかもしれないですからね」
「そういうことじゃ」
歩きながら聞こえた声に振り向かずに答えた」
この館の真ん中にある階段を登り、
登りきると右手にある一番奥の部屋に向かった。
部屋の中からは女の喘ぎ声と男の荒い息遣い、
そして小さな呼吸音。
扉を開けると裸のおなごが男の上で腰を振っている、
2人とも行為に夢中で扉が開いたことに気づいてない。
ベッドの近くには目を開いたまま動いていないおなごが壁に寄りかかっている。
「あんた誰?
うちの盗賊団にあんたみたいな奴いたっけ?」
「あん?いねぇーな。
誰だてめぇ」
おなごが気づいて発言したから男も起き上がり拙者を確認した。
「拙者の名前は春日 権兵衛。
大抵のことは気にしないでござるが、
おなごに卑劣な行為をすることだけは許すことはできないでござる。
おなごはこの世の宝。
それを汚したお主には地獄を見てもらうでござる。
妖術『幻界』」
拙者達はこの世界から消えた。
「ここはどこだ!」
「ここは拙者の世界でござる。
お主のような外道を懲らしめるためにここに連れてきたでござる」
「世界?何言ってんだ!
どうせ何かしらのスキルだろ!
てめぇを殺せばもとに戻るはずだ。
スキル『縮地』『身体強化』『獣化』
俺様のスキルは全て相性がいいんだ。
これを使って殺せなかった奴はいねぇー。
死ねぇ!」
筋肉隆々の狼が二足歩行をしている姿に変わった指名手配の男は、
本人は速いと思っているだろが拙者にはゆっくり動いているようにしか見えなかった。
男は拙者の体を殴るが痛くも痒くもない。
「随分と弱い者を殺していたでござるな」
「なめるなー」
体を何度も殴ったり蹴ったりしてくるが、
拙者は特に反応もしないしこの場所からも動いていない。
「なぜ効かない!
なぜ平気なんだ!
これならどうだ」
男は左肩に噛み付いてきたが牙が刺さらなかった。
「男にかじられる趣味はござらん。
のけ」
男の腹を一発殴ると吹き飛んで行き、
拙者はその方向に歩いて向かった。
男はもとの姿に戻り腹を押さえてのたうち回っている。
「大したことないでござるな。
それでは地獄を始めるでござる」
「ゆ、許してくれ、
俺が悪かった!
心を入れ替えて今度は女性のために人生を捧げる!
だから助けてくれ!」
男は縋るような目で見てくる。
「もう遅いでござるよ。
拙者が封印した怒りという感情を解き放ってしまったでござるからな。
お主が受ける地獄は無限地獄。
拙者の世界は拙者の思うがまま、
殺してもすぐに生き返るでござるよ。
さあいつまでお主は正気を保っていられるか楽しみだ」
刀を鞘から抜き男を苦しめるように切り刻んでいく。
そして死んだら無傷の状態で生き返り、
また同じことを繰り返す。
この世界はあちらの世界と時間の流れが違うから、
どんなに時間を使ってもあちらに戻れば一瞬だけ消えたように見える。
だから安心して久しぶりの殺しを楽しもう。
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