奴隷商

街の入り口にはアルミール殿の家族がいて見送られた。

そして街を出てから一周間ほど経った。

ワシのテントで過ごしているので皆の不満はない、まあバリールは恐れ多いと遠慮して入ってこないが。 


そして少しだけ変化があった、レベッカが少しだけリリス化した。

ワシが女をどんどん増やすので少し焦っているとリリスが言っていた。

嫉妬されるのは嬉しいからほっておくことにした。


「兄貴!竜車が襲われておりやす!

どうしやすか?」


「そうじゃのぅ。あまり助けたくない奴らじゃが助けんと大変なことになるのぅ」


「了解!では兄貴と姉御達はここで待っていてくだせい!

俺が助けてきやす!」

竜車が止まり、バリールの気配が襲われている竜車のもとに向かっている。


「ゴンベエなんで助けたくないの?」

レベッカが不思議そうに聞いてきた。


「襲われているのは奴隷商じゃ」


「奴隷商!あのクソ野郎どもね!確かにゴンベエが言う通り助けたくないわね」


「レベッカはお子ちゃまね、奴隷は生きるか死ぬの選択を迫られた時の一つの選択の一つよ」


「じゃあリリスは奴隷は必要って言うの?」


「そうよ。わたしがそうだったから」

皆にはリリスが盗賊の一味であった事は話してある、どうせいずれバレるから。


「だから今ゴンベエや皆といられるの。

生きるってのはそういうことなのよ」


「リリス、ごめんなさい」


「いいわよレベッカ。

貴女は決して奴隷になっちゃだめよ。」

リリスは左肩を右手で触った、

そこには奴隷紋と呼ばれる紋章があった。

ワシが消して今はない。


奴隷紋、命令に背くとその場所が剣に刺されたように痛みを発生させる。

もちろん反抗しても。


「うん、リリスはもう奴隷じゃないからね!

私達の仲間だから!」


「ありがとうレベッカ。

仲間なら早くゴンベエに抱かれてね」


「なんでリリスはすぐにそっちの方向の発言するのよ!」


「仕方がないじゃない、もう何日もしてないし」

少し照れたようにリリスは言った。

素直なレベッカと素直じゃないリリス、なんだかんだで仲がいい。


「僕も奴隷は好きじゃないね。

まあ裕福に育った僕が言ってもなんも意味ないけど」


「確かに。元貴族の俺が何か言っても意味はないか」


「私は好きです!なんと言ってもなくならない商品ですから特に女の子は!」

アルミール殿、フィーライヌ、アルサ殿が順番に奴隷に対する感想を言った。

アルサ殿はリリスに調教されたため口調が変わった。だが守銭奴は変わらないらしい。


もちろんフィーライヌのことも皆に話してある。

皆は同情し皆泣いた、オロオロしていたフィーライヌはとても可愛かった。


「リリー」

この仲で最もリリスと仲の良いクレアが発言する。


「クレアも少し手伝って」


「はい」

クレアに捕まったアルサ殿がリリスに蹂躙された、もちろん竜車の中は喘ぎ声が響いていた。


「兄貴!助けた奴が兄貴に会いたいそうです!」


「はぁ。会いたくないが仕方がないのぅ。

皆は待っておれ」


「はぁ、はぁ、はぁ。

私は行きます!金の匂いがします!」


「リリス悪いがついてきてくれるかのう、この子には手綱が必要じゃ」

ビクッと反応したアルサ殿だがどうやら本当についてくるらしい。


ワシは竜車から降りバリールの所に向かう。


「ワシに会いたいとはなんの用かのぅ?」

ワシの目の前には小太りの男と、護衛と見られる男がいた。


「この度は助けていただきありがとうございます!

認定奴隷商のマドワキと申します!」


「ワシはゴンベエじゃ。

それで用件はお礼を言いたいことかの?」


「いえ!護衛が沢山盗賊に殺されてしまったので、どうかわたくし共の護衛をお願いしたい!

もちろん依頼料はたんまり出す!

この竜車の中には特別な事情がある奴隷がいて、早く届けなくてはいけないんだ!

頼む!」

小太りの男は頭を下げて言ってくる。


「特別のぅ。はっきり言っておくぞ。

お主は見誤ってんじゃよ、その奴隷を輸送するなら最も強い護衛を選ぶべきじゃったのぅ」

そう言うと護衛の男が腰に差していた剣を抜きワシを攻撃しようとした。


「アラブ!やめなさいこの方は敵ではない、敵ならば助ける必要はないだろう」

首の少し手前で剣は止まった。

まあ当たっていたら剣の方が壊れたけど。


「ですが!」


「黙りなさい!

すいませんゴンベエ様この子は少し過保護なんですよ」

詐欺師のような顔が本物の商人の顔を変わった。


「かまわん、ワシも余計な事言ったすまんのぅ。それで認定奴隷商殿、その奴隷以外ははカモフラージュじゃろ?

護衛をしてもらいたいならその子達を貰いたい」


「良いのですか?あの子達の寿命は後数日ですよ?」


「分かっておる、じゃからその子たちを選んだんじゃろ?」


「貴方は何者ですか?」

疑わしい者を見るような目でワシに聞いてきた。


「そうじゃのぅ、スケコマシかの」

顎髭を触りながら言う。


「ちょっと待った!

数日で死ぬ人をもらっても得がないじゃないですか!

ゴンベエ殿!ここは私に任せてください!


ではマドワキ殿商談を始めましょう!」

アルサ殿は手を揉み揉みしながら奴隷商に話しかけたら。


「リリス」


「はーい。アルサ?もう一回する?」


「いえ、諦めます。クソっ金の匂いがするのに!」

ハム殿、よくこの人が支店長できたとワシは思う、そして本当に生粋の商人だなと。

このアルサ殿に悪どいと呼ばれる商会とは、一体どんなすごいことをやっているのだろう。


「では護衛としてバリールを付けよう。

バリールはAランク冒険はだから安心せい。

バリール」


「へい!」

バリールは奴隷商の竜車に行った。


そしてマドワキはワシが求めた者達を連れてきた。


「えーと本当にこの子達でいいのですか?」


「もう一人いたはずじゃが?」


「あ、あの子は呪われているんです!

恩人に渡すわけにはいきません」


「いいから連れてこい時間がないんだ」

ワシは鋭い目をして睨みつける。


「わ、分かりました」

マドワキは最後の一人を横抱きして連れてきた。


「可哀想に、今助ける。

妖術『排除』」

最後の一人は肌が爛れていて目も歯も舌も耳鼻も手も足もない。

それも当然だ、実験台として悪魔と呼ばれる存在と契約させられ無理矢理契約を破らせたからだ。


今その契約を排除した。


「妖術『遡及』」

彼女の体は元の姿に戻った。


「さあ君達もおいで、病気を治してあげよう」

病に侵されている幼い彼女達に話しかけた。




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