正常化
「ゴンベエ、壁画は余の祖先がこの地に何故来たか、そしてどうやってこの地を繁栄させてきたかを描いている」
「ゴンベエ、なんか綺麗だね」
「そうじゃなレベッカ」
緊張で黙っていたレベッカが壁画を指差しながら言った。
「どれ目的の一つをするとしようかのぅ」
ワシは国王の目の前に立とうとしたが、クラミズ率いる近衛兵達に阻まれた。
「近衛兵下がれ!余の権限でゴンベエが今からする行いは全て不問とする!」
アンドレが叫んだ。
「しかし王太子殿下、国王陛下に危険が及ぶ可能性があります!
我ら近衛兵はそれを見逃すわけにはいきません!」
「余が許可しよう、近衛兵どくんだ」
「国王陛下!」
納得できないような顔で近衛兵であるクラミズが叫んだ。
「大丈夫だ、この男が余を殺そうと思えばもうすでに死んでいる、そうだろう?」
「そうじゃな」
一瞬でここにいる者達を消せる。
「だから今からする事は別のことだ、アンドレアが自信をもってゴンベエに何かをさせようとするんだ、きっと余にとって必要なことなんだろう、そうだなアンドレア??」
「何をするかは分かりませんが、俺はゴンベエを信じています!」
「アンドレアが俺と言ったのは久しぶりに聞いたな、さあゴンベエ好きにやってくれ」
近衛兵がどき、国王の目の前に来た。
「良き血だな、
妖術『正常』これで元通りじゃな」
「、、、、、、」
国王は膝から崩れるように四つん這いになる。
「国王陛下?やはり貴様国王陛下に危害を加えたな!」
近衛兵達が剣を抜きワシに向けてきた。
「待て、余は自らの行いに悔いていただけだ。許せライアンシーナ、そしてマゼル。
ゴンベエ、余に何があったか説明してくれるか?」
「いいじゃろう、アンドレには話してあるが他人の記憶を変換できる者がいてな、お主はそれをされたんじゃ。本来なら全ての記憶を変換しようと思ったようじゃが、お主の中にある竜人の血が抵抗して一部しか変換できなかったようじゃ」
「一部か、、、その一部が余の親友とその家族、余の妻を奪ったのか!なんたることだ!自分が情けない!」
国王は床を何度も握った拳で殴った。
「待て!俺は大丈夫なのか?」
焦った顔をしたアンドレに聞かれた。
「アンドレは大丈夫じゃ、王族で変換された者は国王だけじゃ、いや国王しか変換できなかったと言えるのぅ」
「何故余だけ変換されたんだ?」
顔を上げた国王に聞かれた。
「国王の血が他のスキルに抵抗して弱まっていたんじゃよ、悪夢をよく見るじゃろ?」
「まさかあれは何者かによるスキルのせいなのか!」
「そうじゃ、悪夢を見せ衰弱したところにつけ込む予定じゃったようじゃのぅ、女狐は」
「あの女狐め!まさか父上を狙うとは今度こそ許してはおけない!」
怒りの形相でアンドレが言う。
「やめておくんじゃアンドレ、証拠は何にもでんよ」
「くそ!ゴンベエ何か手はないのか?」
ワシの肩を掴み聞いてくる。
「安心せい、あと数日も経てば女狐もろともこの国に害を及ぼす者達はいなくなる」
「ゴンベエ何を知っているんだ?」
アンドレは眉間に皺を寄せて聞いてくる。
「教えてあげたいんじゃがこれはワシとワシのおなごの問題なんじゃ、話すわけにはいかん」
「そうか、ではこれだけは聞いておきたい、この国は大丈夫なんだな?」
真剣な眼差しで聞いてきた。
「もちろんじゃ、誰一人傷つかん」
「そうか、ゴンベエを信じよう」
手を離し、目を閉じながら言う。
「そうだな、余も元に戻してくれたゴンベエを信じよう」
立ち上がった国王が言う、流石にアンドレの父親だ、おそらく読みきったのだろう。
「なら我ら近衛兵も信じましょう」
「そういえばゴンベエ何故この場所で元に戻したんだ?他の場所でもよかったんじゃないか?」
「そうか、お主達は知らんのじゃったな、この場所はあらゆる力を跳ね返すんじゃ。
国王をスキルで監視していた者、つまり記憶を変換した者はここで何をしているのか分からんのじゃよ」
「という事は父上が元に戻った事が分からないという事か?」
「そうじゃ、じゃから国王にはしばらく変換されたふりをしてもらいたい」
「分かった、だがあの者を裁くのは余だ!」
国王がワシを指差して叫ぶ。
「父上は誰か分かったのですか?」
「ああ、あの者しかいないだろう!だから裁くのは余だ!いいなゴンベエ!」
「いいじゃろう、全てが終わったら国王、お主に引き渡そう」
ここは折れないと国王が納得しないだろう、
帰ってフィーヌを説得するのが大変そうだ。
「父上教えていただきたい!」
「はぁ、アンドレアはたまに勘が鈍るな、その癖国王になる前に直せ」
国王がアンドレに耳打ちする。
「なんと!だからあの時母上ではなくあの者の言っている事を信じたのですね!やっと腑に落ちました。
ゴンベエ感謝する、これで母上を城に戻す事ができる。この恩は忘れないぞ」
アンドレの母親はマゼル。
マールゼリア・フォン・サブル・ドラベルム
サブルという都市から嫁いだこの国の第三王妃、フィーヌの親の件で国王と仲違いして離宮に籠った。
「かまわんよ、ついでじゃからな。
どれここに来た最後の目的を果たすかのう、レベッカ」
「え?」
急に話しかけられたレベッカはびっくりした。
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