屋敷

「なんじゃ?」


「兄貴!自分が驕っていたことが分かりました!

どうか舎弟にしださい!」


「えーとレベッカ舎弟とはなんじゃ?」


「舎弟は子分のことね。

つまりゴンベエの下につきたいってこと」


「子分、なるほどのぅ。

今のところ男の仲間はいらんのじゃが」


「そんなこと言わないで下さい!

なんでもしますんでお願いします」

男は土下座をしてワシに頼み込んできた。


「そうじゃのぅ」

どうしようかと考えているとリリスがワシの前に出てきた。


「あんた名前は?」


「先程言ったんですが、バリールといいます姉御」


「竜車の扱いはできる?」


「それは少しならできやす。

一応冒険者ですから」


「じゃあ今から完璧に竜車を扱えるように学んできて。

できたらゴンベエの舎弟にしてあげる」


「本当ですかい!

今、今すぐに学んできやす!」

バリールという男は逃げるようにギルドから出て行った。


「リリス、勝手に決めてもらっては困るのう」


「考えがあるのよゴンベエ。

あいつに竜車を運転させれば、ゴンベエとイチャイチャしながらどこかに行けるでしょ」

リリスは抱きつきながら言う。


「なるぼとね!

確かにあの男に御者を任せればリリスとゴンベエを二人きりにしなくて済むわね」


「あっ!その可能性を忘れていたわ。

あの男には悪いけど諦めてもらいましょう」


「もう無理よ!私がゴンベエの舎弟って認めるもの!

リリス策士策に溺れるとはこのことね!」


「キー」

どこからともなく現れたハンカチをリリスは噛んで引っ張っている。


「まぁ道中が楽ならどちらでもよいか。


ワシは行くところがあるが二人は付いてくるかの?」


「もちろん」 「もちろんよ」

二人は同時に答えた。


ワシは右腕にレベッカ、左腕にリリスに腕を組まれながら目的地に向かう。


「ねぇゴンベエ行くところってここ?」


「ゴンベエ、何しにここに来たのよ?」


「そりゃ領主のもとに行くんじゃよ」

二人を連れて領主の屋敷に来た。


「すまんの門番殿。

約束をしていた権兵衛なんじゃが、

入れてくれるかの?」


「ゴンベエ様ですね!

そちらの女性達はお連れ様ですか?」


「そうじゃ、一応連れてくる許可は取ってあるんじゃが?」


「はい確かにご命令は受けております!

いま貴賓車を呼びますのでお待ちください」

門と屋敷はとても遠く歩きだと時間がかかってしまう。


門番殿が呼んでくれた竜車に乗り屋敷の玄関に着き、領主と初めてあった部屋に案内された。


ワシは特に緊張はしなかったが、レベッカとリリスは緊張のあまり固まっている。


そして部屋の扉が開き、

領主であるレイモンド殿、ハルバス殿、アルミール殿、そして女性とともにハルベーリ君が部屋に入ってきた。

ワシらは向かい合うように座った。


「ゴンベエ殿、昨日はすまないな」


「レイモンド殿とんでもない、家族が病から治ったんじゃ家族だけの時間が必要じゃろ」


「かたじけない。

ゴンベエ殿は昨日会っていなかった。

ハルベーリの母親であるカタリーナだ。

ハルベーリが病に侵されてからカタリーナも体調を崩していてな。

カタリーナ」


「ゴンベエ様、我が息子を救っていただき感謝致します。

もし必要なものがあれば何なりと。

全てご用意いたします」

アルミーナ殿の母親の他にも妻を持つとはなかなか。

確かアルミーナ殿母親は綺麗な人だが、この女性は可憐と言ったところだろう。

この領主の趣味はいいと言えよう。


「カタリーナ殿、ハルベーリ君が治ったのは、アルミール殿やハルバス殿がワシを信頼してくれたおかげなのじゃ。

あとレイモンド殿もな。


ワシではなく、三人にに感謝するのが妥当じゃろう。ワシは少し手助けをしただけじゃ」


「それは違うぞ権兵衛!

権兵衛を牢屋に軟禁したのになんの遺恨もなく僕の願いを聞いてくれたんだ!

だから権兵衛のおかげに決まっている!」

大きな声を上げてアルミールが言う。


「そうだな。

ゴンベエ殿、牢屋に入れ不快な思いをさせた。ここで改めて詫びを言おう、

すまなかった」

ハルバス殿が頭を下げる。


「なんと!ハルベーリちゃんの恩人にそのようなことを!

アルミー、ハル!床にお座りなさい!」

カタリーナ殿は怒った顔をして床を指差した。


「カタリーナ殿、牢屋に入れられたのは仕方がなかったんじゃよ」


「ですが!」


「とりあえず二人の話を聞いてくれんか?」

二人は何故ワシが牢屋に入れられたかを説明した。


「なるほど。一応分かりましたが、ゴンベエ様の滞在費は二人が払うこといいですね?」


「はい」 「承知」

二人は少しだけ不満そうに言った。


「おじさん!」


「なんじゃハルベーリくん」


「ハリーって呼んで下さい!

おじさん本当にありがとう!

アミー姉様から聞いたよすごい強いんだよね!

僕もおじさんみたく強くなれる?」


「そうじゃのぅ、ワシとは違う形でなら強くなれるのぅ。

まずは身体に流れる己の力を完璧に扱えることが必須じゃのう。

己を苦しめた魔力をのう」

ハルベーリくんの身体に流れるとてつもない魔力を見て言う。


「分かった!今日からきちんと魔力と向き合うよ!

そして今度は僕みたいな子を僕が助けるんだ!

できるよね?」


「不可能ではないのう。

じゃかワシがやったように他人の魔力を完璧に扱うのは至難の業じゃ。

生半可な覚悟じゃ難しいぞい。


じゃができるようにするんじゃろ?」


「もちろん!」

キラキラな目をして言ってくる。


「ならハリー君ならできるじゃろう。

もしできなかったらワシが手伝ってやるから安心せい」


「おじさんありがとう!

僕頑張るよ!」

この後しばらく喋りワシらは泊まっている宿に帰った。

その日は前もって部屋を取っていたので一人で部屋にいる。


「おい、今日は一人だから出てきてもいいぞ」

ワシはある物を懐から取り出しその物に言う。


【やっと妾を呼んだか】


「すまんな、お主も他のも何バレるとまずいんじゃろ?

もちろんこの部屋の声は分からんから安心せい」

森の主から貰った物から森の主が出てきた。

この前添い寝してもらっている時に使い方を教えてもらった。

この丸い玉と森の主のいる場所は繋がっていて、呼びかけると出てくる事ができるらしい。


「さぁ今日は久しぶりに添い寝をしてもらおうと思ってのぅ、

報酬はこれじゃ」


【これはこの前貰った酒じゃな。

よいのか?】


「これはワシが趣味で作った酒なんじゃよ。

だから腐るほどある、気に入ったのなら添い寝してくれる度にやるぞ?」

次元袋からお酒を何本か出す。


【いいだろう。たかが添い寝。

好きにするがいい。

だがもう一度言うが妾を抱けば死ぬぞ】

そんなこと言っているが目をもう酒に釘付けだった。


もちろん酌をしてもらいながら酒を飲み、

火照った体を彼女の冷たい体を抱きしめ冷ました。

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