魔王を討伐したご褒美で異世界に送ってもらったわい

酒ともやし

咆哮


「がぁぁぁぁぁ」

圧倒的な強者である奴があたしに向けて吠えてくる。


「本当についてないわね。

生きて帰れたら絶対にあいつらをぶん殴ってやる!」

あたしはアイテムボックスというスキルを持っているおかげで、

Aランクパーティーに誘われてこの迷宮に一緒に入った。


でも彼らの1人が転移トラップを発動させ、

レッドドラゴンのいるこの階層に飛ばされた。


そして足を斬られ、

あたしは囮として置いていかれた。


あたしは必死にレッドドラゴンからの攻撃を避け続けているけど、

地面に転がりすぎて防具がもうボロボロだし、

足の傷も酷くなってもう動くことはできない。


「くそ!

まだ夢を叶えてないのにここで死ぬの?


お父さん、お母さんごめんね。

先にあの世で待っているよ」

今度は咆哮ではなく口から火を出そうとしているレッドドラゴンを見て、

死ぬことを悟った。


「色っぽいお嬢さん、

ワシと団子でも食わないか?」

声が聞こえる方向を見ると、

黒髪を後ろで結び、

無精髭を生やした男が立っていた。

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