抜け道

「ここだな」


「そうだ」

ファルシー殿が俺の質問に答えてくれた。

俺達はアンジェリカ次期女王に教えてもらった、王族のみに教わる王の抜け道の入り口の前にいる。


「リリスお母さんに褒めてもらう為にがんばらないと!」


「そうですねローニャ様」

最初は遠慮したのだが、リリス殿やトモエ殿の命令で彼女も付いてきた。


「はい!」


「じゃあ入るぞ」

ファルシー殿は仲間には全て敬語で話すが、俺達には威圧的に話してくる、理由を聞くと仕える者達以外にはへりくだらないと心に誓っているらしい。


「やはり彼方は囮だったか」


「まさか!」

しばらく歩いて行くと、聞いた事がある声が聞こえた、そしてやはりあいつがいた。


「お前達の浅知恵など我らに効くとおもったか?」

あいつの部下が俺達に向けて槍を向けている。

「くっ!」


「あの時のように叩き潰してやろう」


「ステウィン殿、あいつが例の指揮官か?」


「ああ、俺達の全ての攻撃を先読みされ、手も足も出なかった恐ろしい奴だ」


「自分より弱い者達の動きを読むなど造作もない、すなわちここにお前達が来た時点で勝利は確定事項なのだよ」

後ろから足音が聞こえ振り返ると、あいつの部下と同じ格好をした兵士がいた。


「挟まれたか!」


「さて今回は生け捕りではなく皆殺しといこうか」


「随分と馬鹿にされたようだな、我が主に使えるわたくしがお前達のより弱いと思っているのか?」

ファルシー殿は俺達より一歩前へ出て指揮官に聞く。


「誰だ貴様?」


「わたくしはファルシー、世界最強の男に仕える者だ」


「世界最強?なんだただの馬鹿か。世界最強は我が君主である!貴様が仕える男などただのゴミだ!」

噂ではリーメイト共和国の君主は不思議な力を使うらしい。


「、、、そうか、我が主をゴミ呼ばわりするのか、、。『黒銀翼』殺す」

ファルシー殿の三対の翼が生え、右は銀色で左は真っ黒、それに合わせるように髪の色も同じように変わった。


「何つう威圧だ!腰が抜けそうだぜ!じゃあお嬢ちゃん俺達は作戦通り後ろを叩き潰すか!」


「はい!すーはー。



あら、全員男なんてついているわね、今投降するなら下僕として飼ってあげてもいいわよ?」

よく分からんがローニャ嬢ちゃんはこの喋り方じゃないと調子が出ないらしい。


「下僕だと!お前ら女の子だからって遠慮入らねぇ!本気でやっちまえ!だが殺すなよ、大人の男の怖さを味わわせてやる!」


「おっいいね!最近ご無沙汰だったからな」


「ひっひっひ」

男達はローニャ嬢ちゃんをいやらしい目をしながら見ている。


「はぁ、どうやら馬鹿しかいないようね、さっ山の民さん、やっておしまい」


「しゃあ!」

「おりゃ!」

「くらぁ!」

村の里に帰ったあとリリス殿にコテンパンにやられた男達は、リリス殿の娘であるローニャ嬢ちゃんに逆らえない。

むしろ喜んで従っている。


「あら、わたしのところまで来るなんてすごいじゃない、ご褒美よ」

戦っている仲間の間をすり抜けてきた男に、黒いオーラを当てた、そうすると男はビクンと反応して白目で倒れた。


「ステウィンさんも立ってないで追撃してくださる?」


「は、はい!」

俺も同じ目にはあいたくないので言うことを聞く。


「ふふふ、怯えなくても仲間には何もしないわよ」

お嬢ちゃんとは思えないほどの妖艶の笑みをして俺に言う。


「あ、ああ」

本当がどうか分からないので恐れながら戦う。




「これで最後!どれファルシーさんはどうな、、、、完全なる王殺だな」

最後の一人を殴り終え、ファルシー殿を見ると、指令官の首を掴み片手で持ち上げていた。あいつの部下は原型を留めていないようだ。


「なんだステウィン殿も終わったのか。わたくしはこいつで最後だ」


「む、無駄だ!この先はすでに封鎖している!無駄足だったな!」


「ではお前にも冥土の土産に教えてやる、わたくし達は囮だ。念の為に王都に残ったお前達兵士をこちらに向かわせるためにな」


「何を言っている?城に正面から侵入するつもりか?」


「そんな馬鹿な作戦を立てる奴がいるのか?本命はちゃんと王座があるところに直接向かっている」


「お、王座だと?」


「抜け道は二つ、王城内に入れる王族しか知らないこの道、そして王座がある場所に直接行ける特別な条件を満たしたい者のみが通れる道」


「そうか、そういう事か。だが残念だったなバーバラ女王様には二人の強者が仕えている!私のように策を使わずともよいほどの強者がな!」

自信満々にあいつが叫んだ。


「その点については問題ない、我が主の奥方達がついているからな、では冥土の土産もここまでだ」


「ふっ私がやられる事を考えないと思ったか!」

あいつの身体が光り出したと思ったら爆発した。


「ファルシー殿!」

俺は心配で叫んだ。


「問題ない、我が主に仕える者がこの程度で傷一つでもついては恥だからな」

至近距離で爆発を受けたのに、全くの無傷。


「そうですね、ご主人様に仕える者があの程度で怪我するなんて恥ずかしいですからね」


「、、、、、そうか。とりあえずここから出ようか」

もう、この人達怖い。


俺達は作戦である王都を凱旋しないといけない。

俺達と新生アランデラ王国の友好を示す為に。

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