同行者達
「本当に酌をしに来るとはのぅ」
「お約束致しましたから」
あれから三日後にクレアはワシのもとに訪れた。
そして食堂でこの世界のお酒を注いでもらっている。
「ゴンベエ様、いかがですか?
アルミール様にお願いして少しお高めのお酒をご用意してもらったのです」
「クレアのような美女に注いでもらったお酒ならどんなお酒でも美味しいわい」
「あらゴンベエ様ったらお上手ですね。
いろんな女の人に言っているんですか?」
「そりゃ美しいおなごに同じことは言うわい。
いやおなご全てに言っているかのぅ」
「全てに言っているのなら許します。
ささっどうぞもう一杯」
ワシの持っている湯呑みに酒を注いでくれる。
「すまんのぅ、ではいただこう」
やはり美女からの酌は別格だ。
「ゴンベエ、わたしも注いであげるから早くコップを空にしてよ」
隣座っているリリスが言ってくる。
「ほらこっちの湯呑みに注いでくれ」
「はーいどうぞごんべい」
「ちょっとレベッカ!ゴンベエはわたしに言ったのよ!」
「細かいことは気にしないでよ、ほらリリスにも注いであげるから」
「もう、ありがとうレベッカ」
「どう致しまして」
二人はなかなか仲良くなっているようだ。
「権兵衛の周りには女が集まるんだな」
「そうじゃな、美しい領主の娘さんとかのぅ」
「権兵衛、僕は思ったんだけどわざと照れさせようとしていない?」
「そんなことはないぞ、思ったことを言っているだけじゃ。
のぅリリス」
「そうよ、ゴンベエはそんな器用なことできる男じゃないわ。
アルミール様は素直に受け取るといいわよ」
「そ、そうなのか。
ゴンベエありがとう」
「そういえばゴンベエに私は綺麗とか美人とかあまり言われてないわね!
どういうことゴンベエ?」
「レベッカは言って欲しいのかのぅ?」
「えーと言って欲しいって訳じゃないけど、
なんか私だけなんか仲間外れみたいな感じじゃない」
レベッカは赤い髪をクルクルと触りながら言う。
「レベッカは最初の印象と少し変わってきたからのぅ。
綺麗や美人というより可憐と言ったところかのぅ」
「可憐か、まあ特別にそれで許してあげるわ!」
顔を真っ赤にして言った。
「ゴンベエて本当にスケコマシよね」
「かっかっかっ!意味は分からんがなんとなく分かるぞい!」
おそらく女好きみたいな事を言われているようなもんだろう。
「それでアルミール殿、あの子達はどうなっかのぅ?」
「半分以上の子達は帰る場所があるみたい。
あと半分は帰る場所がないんだ。
そこにいるクレアさんみたいに」
「それでゴンベエ様お願いがございます!
わたくしをお側に置いていただけないですか?」
クレアがお願いしてきた。
「ゴンベエ、わたしからもお願いするわ」
「ゴンベエ私からもお願い!」
「リリス、さてはすでに裏で話し合っていたんじゃな。
まったく二人にお願いされたらお手上げじゃよ、
クレアこれからよろしく頼むぞ」
「はい!恩を返すため何でもします!」
クレアは立ち上がりそう言った。
全く旅の仲間が増えたみたいだ。
「あっ権兵衛僕もこれからの旅に同行するから」
「アルミール殿が?レイモンド殿は許しておるんか?」
「もちろん、とういうか義母さんから命令されたんだよ。
権兵衛にした仕打ちの詫びと恩を返せって、
だから父上様も何も言えなかったよ。
だからよろしくね?」
「そういう事なら何も言えんのぅ。
というかそれも話し合ったんじゃろ」
「ばれたかー!
さすがゴンベエだね!」
レベッカがそう言った。
「これで5人の旅が始まるわね。
よかったわゴンベエが了承してくれて」
「さっきも言ったじゃろ、美女達にお願いされたら拒否などできんよリリス」
「ねぇゴンベエ聞きたいんだけど」
「なんじゃリリス?」
「ゴンベエ大丈夫?美女に囲まれているのに何もできないって辛くない?」
「そうじゃのぅ、辛いと言えば辛いがまあ大丈夫じゃ」
「ゴンベエ」
レベッカが少し悲しそう顔と声でに言った。
「レベッカ気にするでない、
待つのもまた一興じゃよ。それも待った先には可憐なレベッカがおるんじゃ。
楽しみで仕方ないのぅ」
「まあわたしは早くして欲しいけどね」
「えーとわたくしはえーとその、早くして欲しいです」
「ぼ、僕もそうだね」
三人はレベッカに催促した。
「リリスは分かるけど、クレアとアルミール様はどういう事!」
「そのままの意味です。
リリスから真実を聞きました。
ご恩はこの身をもってお返しする所存です!」
「ぼ、僕は権兵衛を逃したら結婚できないと思うから。
いいよね権兵衛?」
「だめよ!ゴンベエは私のなの!」
「どうやら新しい話し合いをする必要があるわね。
ゴンベエ悪いけどここで酌は終わりよ。
女子会を開くわ」
「そうですね、レベッカさんを洗脳、、ではなくお話しする必要がありますね」
「安心してよ権兵衛、二人が無茶しないように監視するから!」
三人ははレベッカを連れて二階に向かった。
ワシは寂しく飲んでいると声をかけられた。
「隣いいかい?」
洋風の眼鏡かけた人物が話しかけてきた。
「良いぞ、ハム殿の元上司殿」
「まさか私のことを知っているとは。
でも改めて自己紹介しよう。
元サーベルモ商会支店長、アルサだ。
この度はハムが世話になった。
そして素材の提供感謝する」
アルサと名乗るおなごに頭を下げられた。
「気にすることはない、ハム殿にはこの街に来る時に竜車に乗せてもらった恩があるからのぅ」
「ハムが言っていた通りの男のようだな」
「アルサ殿は今ハム殿の商会に働いているようじゃが、よいのか?」
「ああ部下と上司の関係が逆転したことだろ。構わない、最近サーベルモ商会は悪どいやり方ばかりしているから嫌気も差していたしちょうどいい。
それに私は支店長とか管理するより現場で働く方が好きなんだ。
本当に今楽しく働いている」
彼女は本当に楽しそうに話す。
「そうならいいんじゃ、それで商人のお嬢さんは何の目的で来たんじゃ?」
「決まっているだろ、
ハムから聞いた旅に出るんだろ。
それに同行させてほしい。
魔法スキルには自信がある!
足手纏いにはならん!
それに先程見ていたが二人も三人も変わらないだろう」
「それを決めるのはワシじゃないのぅ、
203号室に皆が集まっておるからそこで許可を取るといい。
許可が出たらワシも許可をしたことにしてもよい」
「本当か!」
彼女は手を机で叩き立ち上がった。
「本当じゃっと言う前に行ってしまったか。
まあええじゃろう。
さてゆっくり飲むとするかの」
ワシはキセルを懐から出し、飲みながら一服した。
ワシの耳にはおなご達が争う楽しい声が聞こえた。
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