ヨルムンガンド

「お主が最期の砦か」


【そうだ、まさかこの階層に来る者がいるとはな】

巨大な身体をしている奴を見る。


「実に楽しみじゃのぅ!最初に会った時のエリナーデと同じ感じがするわい!」

森の主と呼ばれていた時に感じた強者特有の気感じる。


【我を見て臆することなく立っていられるとは見事だ】


「当たり前じゃ!あの世界の魔王より強い存在と今から戦えるんじゃぞ!

もう待ちきれん!いざ尋常に勝負じゃ!」

ワシは刀を抜き強者に近づく、強者も素早く反応し、ワシに向かって紫色の液体を放ってきた。


刀を振り、その風圧でその液体を他の場所に向かわせる、液体がかかった場所は紫の煙を出しながら陥没していった。


「溶解液か、いや毒か。まさに見た目通りの攻撃じゃな、ん?」

ワシは足元の僅かな振動を感じその場所から離れる、離れた場所の地面から強者の尻尾が現れた。


「ほう、毒は陽動か、お主戦ったことないはずなのによくそのような事考えられたな」


【我はこの近くの全てのダンジョンの長、魔物と人間が戦っている姿を知っているのだ】


「なるほどのぅ、それなりの知識があるということか。

うむ、ますます楽しくなったきたぞい」

現れた尻尾の攻撃を躱しながら、強者のもとに近づく、強者も近づけさせないように何度も毒を吐いてくるが全て風圧で飛ばす。


ワシは脚に力を入れて高く飛び上がり、強者の頭を刀で斬りつける、しかし強者の鱗が硬すぎたので刀は弾かれ、無防備の姿で空中に浮いた。

いつの間に元の位置に戻っていた尻尾が見え、その尻尾がしなったあと横薙ぎし、ワシは横壁に叩きつけられた。


【終わりか、やはり人間とは弱き存在だな、

あの者のせいでスタンピードするための魔物が減ってしまった、また次の機会にしよう】


「何勝手に終わらせてんだよ、これからもっと楽しくなるんじゃねーか!

そうだろ?」

俺は壁から出て強者に問う。


【まさかあの一撃を受けて生きてられているとは、よかろう。

お主は我が名乗るに相応しい人間のようだ。

我はヨルムンガンド!

神をも殺せる存在だ!】

背は黒、腹は紫の龍と言われても過言ではないほどの大きさの蛇が叫んだ。


「俺の名前は春日 権兵衛!

神を殺した男だ!」


【神を殺しただと?】


「ああ、だがそんな事はどうでもいい!

早く戦おう!」


【待って!】


「なんだリエデーネ!まさかこいつも殺すなと言うのか?」

殺気を込めた目で見る。


【違うよ!だからその目やめてよ!

なんで創造神様は僕を指名するんだよ!僕は生命の神だよ?なんで戦いの場所に来なくちゃならないんだよ!】

リエデーネは頭を抱えてしゃがみだし愚痴を言い出した。


「それで何?」

早く戦いので少しイラつきながら聞く。


【あーそうだった!創造神様が言ってたんだけど、君今から禁を解くつもりなんでしょ?

君達は平気だと思うけど、迷宮都市にいる人達が全員気絶しちゃうよ!

中には子供いるんだから死んじゃうよ!

だから禁を解くなら君の世界で解いてよ!】

必死の形相で伝えてくる。


「ふぅ、そうじゃったな。リエデーネすまないなわざわざ来てもらって。

ヨルムンガンドお願いがあるんじゃが他の場所で戦わんか?

お主も本気で戦える場所なんじゃが?」

頭を少し冷やして提案する。


【我が本気で戦える場所か、いいだろう我もお主と本気で戦いたい】


「ありがたい、では行くとするかのぅ。

妖術『幻界』」

ワシとヨルムンガンドはワシの世界に転移した。


「ふぅ、さてやろうかヨルムンガンド」


【ああ、本当にここなら本気をだせそうだ】

ヨルムンガンドは紫の気を纏うとさらに巨大になった。


「はっはっはっはっ!いいねいいね!

まるで大蛇と蟻が戦うようなものだな!

これなら一つでいいと思ったが今回は二つだな!

妖術『二禁』」

俺の身体の中から二つの枷が取れた。


【お主何をした?纏っていたオーラが強くなったぞ】


「ただ封印していた己の力を少しだけ解放しただけだ。

怖気づいたか?」

ニヤつきながら聞く。


【我がそのような事思うわけでないだろう、今度は我からしかけてやろう!」

ヨルムンガンドは口を開け俺に突っ込んでくる。


「口を開けていいのか?恰好の的だぞ!

『回り風』」

刀を捻るように刺突する、風圧は回転して弾丸のように進んでいく、危険を察知したヨルムンガンドは口を閉じ顔面からそれに当たり、消滅させた。


その勢いのまま俺に衝突してきたので、左手で受け止めようとすると、勢い負け足が地面を削るように後ろに押される。


「まさか禁を二つ解いた回り風を消滅させるとは!やはりお前は強いな!

これならどうする?

『扇』」

俺は刀を上空に投げ、右手は上顎を掴み左手で下顎を掴み、右足を半円を描くように後ろに引いて体を横向きに変えるとともに、右手は下に左手は上に向かって力を入れる。

ヨルムンガンドを顔は下に尻尾は上に反転させ半円を描くように背中から地面に叩きつけるが、叩きつけた反動を利用して尻尾を動かし、尻尾の先で突き刺すように攻撃してきた。


攻撃した直後で避けれなかった俺は横腹に攻撃を受け、吹き飛ばされた。


岩に当たり勢いが止まった。

そして上空から刀が落ちてくるのでそれを右手で掴む。


「はっはっはっはっ!やはり反撃してきたか!さすがに無傷とはいかなかったな」

着物は壊れてないが何本か脇腹が折れているようだ。


「さて、遊ぶとするか」

俺は口角を上げてヨルムンガンドのところに向かう。

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