出港
――翌日 王都ロンド 密林商店 事務所
「ジャスタスさん、密林商店はあなたに業務委託します。パトリックくんたちと協力して盛り上げてください。僕たちの分の稼ぎについては銀行へ預けておいてください」
ジャスタスさんは素早く業務についての必要事項をまとめ、僕はそれに答えた。
「わかりました。私から聞くことはもうありません。留守の間は私にお任せください」
「「シュンさん。いってらっしゃいですぅ」」
すでに出勤していたシャロリアちゃんとフィアルドちゃんが挨拶をしてくれた。
他のバイトさんたちはまだ出勤していない。
「他のバイトさんたちにもよろしくね、シャロリアちゃん、フィアルドちゃん。それじゃ、行ってくるよ!」
僕たちは冒険者ギルドの命でしばらく家に帰れないということになっている。王宮からの密命で敵国に行くなんて、言えるわけない。
王女様からは緘口令を敷かれている。
だから、実家にも本当の事は言えてない。
実家には手紙でしばらく留守にすることを伝えた。
アリサちゃんたちは他に近況を話すような知人はいないため、何事もなく行けそうだった。
さて、出発しようか。
待ち合わせは王都の港でだ。
まずはアリサちゃんたちと合流して、それからキトラさんと合流する。
極秘任務ということで、細心の注意を払って行動するのだ。
――王都ロンド 川路沿い
王都を横切るように西から東に河が流れ、港まで続いている。
港までは小舟で河を下って行けば着くが、僕はあえて街並みを眺めるため王都の街を歩いて行った。
河を辿るように王都の街を進む。川路沿いには店が並んでいる。メインストリートのような派手さはないが、平民、貧民層が河を利用し商売をしているのだ。河には小舟がたくさん行きかっている。
しばらく歩くと、港が見えてきた。河から海へと移り変わっていく。
港に近付くほど大きな船が増える。
小舟が見えなくなり、大型の船ばかりになると、そこはもう港だ。
「港かー! 何気に初めてきたな。ダンジョンばかりに籠ってたのは失敗だったかな?」
「何言ってるの、シュン。昔のような雑魚だったら、今頃死んでるよ!」
フェアリーのリエが道具袋から出て来た。
「やっぱりそうだよね。随分強くなったし、おかげでアリサちゃんたちみたいな可愛い女の子とも知り合えたし。順調、順調」
「次は他国へ侵入よ! これもうまくこなしてもっと王宮に認められよう!」
「わかってるよ。失敗なんてしないさ」
――王都ロンド 港
「あ、シュンさん! こっちこっち!」
僕が港に着いた時にはもうすでにアリサちゃんたち四人は港にいた。
海の男やセリに来ている魚屋の男くさい港にアリサちゃんたちのような美少女が居たから、すぐに気付いた。
「みんな、お待たせ。それじゃ、船に乗ろう!」
「はい!」
僕たち五人は船の中でキトラさんとも合流して軍事大国フル=フランに向かうのだった。
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