王女様からの依頼は何?
「スローン公爵にはいつも助けられている。その四男がこれだけの活躍をして私達王族が何もしないわけにはいかないだろう。元はSランクパーティーに居たそうだが、まあ、詮索はすまい。我が国としても優秀な冒険者が増えてくれるのは有難い」
そういうと王女様は僕たち全員の手を握っていった。アリサちゃんたちは夢見心地になっていた。
「この子たち……。なるほど、エルフに獣人に極東の民に鬼人か。これは興味深いな。全員寮住まいか? 我が国の方針が正しかったと証明できる存在だな。シュン・スローン。よくぞこのパーティーに入ってくれた。王に代わり私の方から礼を言わせてくれ」
何故かものすごく感謝されていた。僕が事態を飲み込めていなかったのを察してか、王女様は説明をしてくれた。
「我が国は人族以外の多種族を幅広く受け入れている。そして、人族と変わりない生活を約束している。そうした政策が民の間で受け入れがたく軋轢が生まれているのも知っているが、私達の方針は変わらない。今起きている軋轢もきっと解決してみせる」
アリサちゃんたちは王女様の想いが心に響いたようだ。両手を胸の前で合わせ感激しているように思えた。
「彼女たちはつい最近、王国学校を卒業したんです。王女様が把握しているように、学校ではいじめもあったようです。僕はこの子たちをきっとSランクの冒険者になれるよう育てるつもりです。王女様が想像していたよりもずっと素晴らしい方で良かった」
賛辞はいい、と王女様が目をふせた。王女様というよりこの方は王子様のような方だな。
扉の傍ではキトラ副長が構えて立っている。王女様に何かあってはいけないための見張りも兼ねていたのだな。
「話がそれたが、本日の主題は活躍している君たちに褒美を与えようと思ってな。Dランク冒険者からにはなるが王宮からの承認を与える。それとわずかばかりの昇任祝いだ。聞くところによると、変わった商売を始めて大層稼いでいるとも聞く。それに比べればはした金だが受け取るがいい。君たちの商売は王都の文化が発展するような商売だ。私も君たちの作った広告と商品リストは持っているぞ」
そういうと王女様はテーブルの隅に置かれていた密林商店の商品リストを持って掲げてくれた。
「王宮からも注文が入っていた事は認識していましたが、まさか王女様が商品リストの事まで把握しているとは思いもしませんでした。大変光栄に思います」
「畏まらなくても良いぞ。それよりも、一つ願いがあるのだ。聞いてくれるか?」
扉の前に居たキトラが改めて扉を開けて外を確認した。王女様は僕たち五人の傍に更に近寄ってきた。
「シュン・スローン。それに多種族の少女たちよ。これから聞く事は国家存亡に関わる話だ。それを聞く覚悟はあるか?」
「何を仰るつもりなのかわかりませんが、少し仲間と話させてもらってもかまいませんか?」
「良いぞ。仲間の意見を共有したまえ」
僕はアリサちゃんたちに近付き、意見を聞いた。
「わたしたちは大丈夫です! 何があってもシュンさんを信じています!」
「うちも!」
「あたしもです」
「私もです」
アリサちゃん、シーナちゃん、メイムちゃん、ユキちゃん全員が僕の事を信じてくれている。これなら、大丈夫だろう。
王女様の前に行って僕は答えた。
「全員覚悟ができているみたいです。どうぞ、お話を進めてください」
王女様は腕を組んで、うんうん、と首を縦に振っている。
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