女の子たちとやり直し
――王都ロンド 冒険者ギルド
「ええぇえ!? 召喚士レベル40の方がパーティーに加入した!?」
冒険者ギルドの受付のかわいいお姉さんが驚愕の声をあげた。
驚くのも無理はない。
今日登録したばかりの全員レベル1のパーティーにただでさえ希少な召喚士、しかもレベル40が加入したのだから。
僕は召喚士なので、ソロでもダンジョンに潜ることができる。
だから、パーティーの重要性を感じないのだ。パーティーメンバーのレベルが全員1でも、問題ない。
本来なら自分と同レベルでパーティーを組まないと、レベリングが難しくなる。それはパーティーの戦力を平均化しないと、適正狩場でのレベリングが難しくなるからだ。
しかし、召喚士というクラスは、モンスターを召喚することでソロでもパーティー分の働きができるのだ。
序盤こそ、パーティーメンバーよりはるかに格下のモンスターしか召喚できないが、尻上がりに強力なモンスターを召喚できるようになる。
レベル30で召喚できるようになる、『ドラゴン』はSランクパーティーがパーティー全員で戦ってようやく勝てるかどうかというぐらい強力なモンスターだ。
鉄より硬い鱗に剣よりも鋭い牙や爪、大きな尻尾はベテラン戦士の鉄槌よりも強力な打撃を与え、挙句の果てに防げない火炎を吐く。
魔法なら魔法障壁やマジックアーマー系の装備で軽減できるが火炎や吹雪はそうはいかない。熱を通さない素材の防具は超レアアイテムだから、ほぼ手に入らないのだ。ドラゴンの炎は躱すか、耐えるかしか方法がないのだ。
そのぐらい強力なモンスターのドラゴンを召喚できるようになるのがレベル30の召喚士というわけだ。そのレベル30を優に超える間違いなくSランクの召喚士が今の僕だ。
「みんな、おまたせー! ギルドにパーティー登録してきたよ。シュンさんの事をお話したらすっごく驚かれたよ!」
外まで声が聞こえてたから知ってるよ。
アリサちゃんだけが受付にパーティー登録をしにいって、僕たち四人は外で待っていたのだ。
まぁ、ギルドの扉はいつも開放されているし、受付は入ってすぐのところにあるから、大きな声を出すと外にまで聞こえてくる。
「うん、そうだろうね。ところで、どんなクエスト受けたの?」
パーティー登録以外にもクエスト受注をしたはずだ、との読みのもと、僕はアリサちゃんに尋ねた。このパーティーは僕が加入してもリーダーはアリサちゃんのままだ。僕もリーダーという柄じゃないので、それで良かった。
「ギルドの受付のお姉さんが、召喚士レベル40がいるなら、このクエストを受けてください、って言われて受けましたー! 王都の近くにある炭鉱跡に最近モンスターが住み着いたみたいで、その退治をお願いしたいとのことでしたー!」
レベル1ばかりのパーティーの割りにいきなりダンジョンに潜んだ正体不明のモンスター退治か。確かに僕の力が必要そうだ。
「うん、まあ、そのぐらいからの方がいいかな。じゃあ、早速出発しようか。準備できてるよね?」
「は~い、全員準備は整ってるよー!」
「それじゃ、出発だね」
「しゅっぱーつしんこー! うちはじゅーじんこー!」
「あたしお弁当作ってきました。あとでみんなで食べましょう」
「私達の初陣です。クエストをしっかりこなしてみせます!」
僕たちはそれぞれの思いを胸に近くの炭鉱跡、つまりダンジョンに出発するのであった。
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