新パーティーでやり直し

――王都 王立女子寮


「ここが、あのパーティーメンバーの宿か」


 仲間募集していたパーティーメンバーが現在宿に使っているのは、王国学校の女子寮だった。男子禁制のため、受付でパーティーリーダーを呼んでもらうことにした。


「あ、は~い。わたしがリーダーのアリサです! どうも、はじめまして!」


 パーティーリーダーは金髪碧眼で耳がとんがっていた。どうみてもエルフだ。エルフのニンジャ、そして女の子。


「あ、パーティーの仲間募集の件で来ました。どうか、加入させてくださいませんか?」


「もちろん、喜んで! わたしたち、王国学校の同級生なんです! 今年で卒業したんですけど、卒業記念に同級生でパーティー作って冒険者になろう、って思って! 一人だけ足りなかったから、募集してたんだけど、全員レベル1だからか、すぐには見つからなくて! ようやく見つかって良かったです! 今、他のメンバーも呼んできますね!」


 なんだか、ものすごく元気なエルフっ娘だ。数分後、僕の新たなパーティーメンバーとなるメンバーが王国学校女子寮の前に揃った。


 サムライレベル1の子ももちろん女性だ。普通の人間の女性だった。黒髪長髪をポニーテールにしている。目鼻立ちがくっきりしていて和風美人といった出で立ちだ。


 神女(ヴァルキリー)レベル1の女の子はもふもふの猫耳がかわいい赤毛の獣人の女の子だ。スレンダーで筋肉質だが、背丈は小さくて可愛い。


 そして、聖女レベル1の娘は、聖女ってなんだっけ?というような出で立ちだった。


 はちきれんばかりの豊満な胸を持ち、胸元から谷間が見えている。お尻も張りがあって艶めかしい。それなのに、僧侶の法衣を着ているのだが、僧侶の白の法衣が逆にエロくみえてしまっている。


 僕は、まあ、ある意味聖女だなーっと思っていた。


「はじめまして。私はユキと申します。アリサと同じく今年で18歳になります。私たちは、もともと冒険者にはならない予定だったのですけれど、このたび卒業記念に冒険者になって、冒険をしてみよう!ということになりまして。冒険者の皆さまは幼い頃よりクラスを磨いているとお聞きしましたから、全員レベル1の私たちのパーティーに誰一人加入してくれる方は居なかったのですけれど、本当に有難いことです」


 サムライのユキちゃんは、礼儀正しい子のようだ。


 18歳でレベル1なのは確かに低すぎる。


 全員がレベル1ということは、幼子を一から育てていくようなものだ。それはちょっと荷が重すぎると感じる。普通の冒険者ならばパーティー加入は考えないだろう。


「このおにーさんが、うちらのパーティーに加入してくれるの!? わーい、これで5人揃ったから冒険に出られるねー!!!」


 獣人の娘がエルフのアリサに抱き着いている。アリサは抱き返しているが、自己紹介をしておいで、と獣人娘に言った。


「自己紹介忘れてた! うちは獣人のシーナっていう。クラスは槍と回復魔法が使えるヴァルキリーや。おにーさん、よろしくぅ!」


 元気に挨拶したシーナちゃんは、僕の手をとってぶんぶん振った。耳がぴこぴこしているし、かわいい。


「次は、あたしね。あたしは、鬼人のメイムと言います。クラスは聖女です。よろしくお願いしますね」


 特に特徴のない普通の挨拶だったメイムちゃんは、クラスと種族がおかしい。


 なんで、聖女なのに鬼人なの。それに見た感じ、どこが鬼人なのかもわからない。でも、僕は野暮なことはせずに聞き流した。


「それじゃー、自己紹介も終わったし! 早速冒険に出かけよう! あ。あなたのこと聞きそびれてた! あなたのお名前とクラスを教えてください!」


 アリサちゃんはちょっとそそっかしい子のようだが、僕は気にせず答えた。


「あ、僕はシュンと言います。クラスは召喚士です。よろしく!」


 僕は無難な挨拶を終えた、するとユキちゃんがおずおずと尋ねてきた。


「ああ、私達は全員レベル1なんですけれど、失礼ですが、シュンさんは何レベルなんでしょうか?」


 冒険者ギルドのリストに載っていたとおり、全員レベル1か。同じパーティーになるんだし、隠していても仕方ないから、僕は正直に答えた。


「召喚士、レベル40です」


 その場にいた、四人とも微笑んだ表情のまま固まった。アリサに抱き着いてくすぐっていたシーナも含めて、全員固まった。


 レベル40は相当やばい。何せ、この国トップのSランクパーティーでもレベル40なのだ。新規加入の大商人のおっさんも世界トップの40だから加入したんだ。


 レベル40なんてSランクパーティーと同等の奴がレベル1ばかりのパーティー募集に応募にきたら、固まっちゃうだろう。


「おにーさん……。好き」


 いきなりの愛の告白。獣人娘のシーナちゃんはすぐに突っ走っちゃう子のようだ。


「突然の愛の告白、嬉しいよ。でも、ちょっと落ち着いてね。僕は昔、Sランクパーティーに所属していたんだけど、追放されちゃってね。だから、1からやり直そうとしているんだ。だから、大丈夫。僕は召喚士だし、早速パワーレベリングしにいこう!」


 召喚士なので、モンスターを召喚し、その召喚モンスターを盾に僕たちがチクチクと敵を攻撃し、経験値を得るのだ。


 つまり、この子たちもそのパワーレベリングですぐにレベルが上がるだろう。


 これで、奴らSランクパーティーを見返せれるってもんだ。それに、この子たちは四人ともめちゃくちゃかわいい。一気にハーレム状態だぜ!


「シュンさんが加入してくれてほんとに嬉しいよ! じゃあ、早速ギルドに登録しにいって、クエストを受けにいこう!」


 僕はイドリオたちに出会いたくないな、と少しだけ思ったけど、今はパーティーの仲間が居るから大丈夫だ、と自分に言い聞かせてギルドへと赴いた。

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