四人と同じ部屋
「前の宿も同じで今回も同じ部屋か……」
「私もいるわよ、シュン」
「リエは一緒に暮らしているんだから、別にいいんだよ。それより、アリサちゃんたちはいいの?僕と一緒で?」
アリサちゃんたちは僕の質問の意味がわかっていないようだった。
僕が同じ部屋だと何がいけないの?と、きょとんとした顔で僕をみていた。
「シュンさんと同じ部屋だと何かまずいんですか?」
アリサちゃんがまっすぐな疑問をぶつけてくる。
「うちもおにーさんと同じ部屋の方がいいし、違う部屋だなんて、そっちの方が嫌だよ。さびしー」
「私とメイムも同意見です。シュンさんには信頼がありますから」
シーナちゃんとユキちゃんとメイムちゃんも同意見のようだ。随分信頼されている。
「わかった。それなら問題ない!僕の方ももちろん問題ない!」
僕は声高らかにいたいけな少女4人と一夜を共にすることを宣言した。
もともと何か起こるかなんて思っていないが、同じ部屋だといろいろ見えちゃう時もある。
僕はなるべくそういう時でも見ないようにすることにした。
「わー!すごーい!ひろーい!」
ロビーも豪華だったけど、部屋の中は更に豪華な部屋になっていた。
大きなベッドが二つに、テーブルが一つ、ソファーが三つ置いてあった。
壁や棚には絵画が掛けられていたり、調度品が置いてあったりして部屋の豪華さを演出していた。
部屋の真ん中には大きなシャンデリアが吊るされていて部屋の中を明るく灯してくれていた。
「へぇ、すごいわね。あのシャンデリア、魔導具よ」
フェアリーのリエが唐突に話しはじめた。
「魔導具?」
「そう。魔導具。魔法が込められた道具のことね。とても高価なものだから、ロンドでもあまり見かけなかったよね。あのシャンデリアは魔法を込めて部屋を照らしているのよ。おそらく、何日かに一度魔法を再度込めなおす必要があるはずよ」
「そうなんだ。電気があるのかな、と思ったけど、違うんだね」
「この首都パルドンでさえ、ようやく蒸気機関が普及しはじめたばかりだから、まだ電気は普及しないわ。発明はされているかもしれないけどね。シュンの元居た世界に文明レベルが追いつくのはまだ当分先の話ね」
僕の、いや俺の居た世界では電気なんてあって当たり前のものだったが、この世界ではまだまだ普及しそうにない。
文明レベルの違うこの世界で俺は本当によくやっている。
まあ、シュンがある程度自分を育ててくれたことで俺は楽できている。
シュンには感謝しなきゃな。
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