カフェの中

モーニングを食べ終わり、食後のコーヒーを楽しんでいた僕は、カフェの中をぐるりと見回した。


僕たちの席は入り口から奥に入った窓際で、入り口付近に老紳士が、真ん中あたりに家族連れ、おそらく父親と母親と幼年期の息子と思われる人たちがいた。


アリサちゃんたちも僕と同じようにコーヒーをお代わりして、今はのんびり啜っている。


特に変わった事がないかな、と思っていると、昨夜、受付をしていた『黒の竜騎兵団』と名乗っていた奴らがやってきた。


体つきと顔つきが明らかに素人ではなかったからよく覚えていた。


「アリサちゃん、シーナちゃん、ユキちゃん、メイムちゃん。ほら、あそこ、入り口のところ。あれが昨夜話してた、黒の竜騎兵団だよ。今は鎧をつけてないけど、すぐにわかる」

「あれが……。確かに気力が身体中を漲っている感じがします」


ユキちゃんは感じ取る事ができたか。


「わたしもわかるよ! なんだか、強そうだもんね!」


アリサちゃんも気付いているようだ。


プロなら普段は気配を隠すものだと思ったが、気配を隠そうともしないという事は何か意味があるのだろうか。


領地内だから隠す必要もないということかもしれない。


「みんな、怪しい態度は見せないように。正体がバレると厄介だから」

「わかった!おにーさんたちに迷惑かけないようにするよ!」


4人とも力強く頷いてくれた。


僕たちがカフェに入ってきた黒の竜騎兵団の3人を見ていたら、こちらに向かってきた。


僕らは自然な素振りで目をそらした。


奴らは僕たちのすぐ近くの席に着いた。


アリサちゃんたちに目配せをして、僕たちは耳を澄ませて奴らの話を聞くことにした。


「団長がよォ、朝早くから皇帝に謁見に行ったみたいなんだが、そこで指令が出るのかねェ?」

「さぁ、わかんねぇな。ま、どうなろうが、俺らは敵を屠るだけだ」

「そりャ、そうだなァ。ははははは」

「アイ=レンの奴らは皆殺しだ。おそらく、数日中に港町ルーへ出陣命令が出るだろ。それまではのんびりさせてもらうさ」


数日中に港町ルーに……。そういえば、僕が全滅させた1000人の兵士たちもルーに向かっていた。


「アリサちゃんたち、そろそろ部屋にもどろっか」


四人とも頷き、席を立った。


これは早くキトラさんと話す必要がある。


しかし、僕はキトラさんがどこに居るのかわからない。


こちらに来るのを待つしかないか。

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