大浴場
部屋に戻って少し経つと、アリサちゃんたちが戻ってきた。
「シュンさんはお風呂いかないんですか~?すっごく広くて気持ち良かったですよ!」
アリサちゃんがベッドに仰向けに寝転がっていた僕に言う。
僕は起き上がって、アリサちゃんたちの姿を見た。もう、なめるように見た。頬がほんのり紅潮していて髪も肌もしっとりしている。
普段は快活なアリサちゃんだけど、湯上りの色気が大人っぽさを醸し出している。
メイムちゃんにいたっては、もう直視できないほどの色気がでている。
浴衣からチラ見えしている胸元とか形の出ているお尻とか。
普段は冷静で落ち着いた雰囲気のユキちゃんも全体的に艶が出てたまらん。
「おにーさん、顔が紅いよ!どうした!?」
唯一普段とそう変わらないシーナちゃんを見て少しクールダウンした。
「な、なんでもないよ。じゃ、じゃあ、僕も大浴場に行ってみるよ。部屋の鍵は置いていくからシーナちゃんたち留守をお願いね」
はーい、と元気にシーナちゃんは返事をした。
僕は道具袋に入浴セットを入れて部屋を出た。ちなみに、道具袋にはリエも入っている。
リエは僕の着替えやなんかと同じに入れられるのを大層嫌がったがSランクペットのフェアリーを連れているなんてバレたら目立ちすぎる。
だから、少し我慢してもらうしかなかった。
そもそも私もお風呂はいりたーい、なんて言い出すからこうなるんだ。
大浴場は大層広いそうだから、浴場の中にリエを連れて行っても見つからないだろうという甘い憶測のもと、僕は大浴場へと向かった。
大浴場へ向かう前に、1階を見て回ろうと思った。
「ここは前の宿のように騒ぎに巻き込まれるような事はない高級宿だから、見て回らなくても大丈夫そうなんだけどな・・・・・・。何があるかわからないから一応、探検しておこう。単にこんな高級宿に泊まることなんてそうそうないから、満喫しておきたいだけというのもある」
1階へ下りると、まず受付をしたロビーがある。だだっ広くて綺麗なロビーだ。
ロビーから少し奥へ行くと、カフェとレストランがある。
どちらも高級そうだ。
カフェとレストランも抜けて更に奥へ進んでいくと、大浴場への案内板があった。
1階はそこそこ人が居たが、大勢というほどでもない。
ロビーのソファや入り口付近で客が話し合ってはいるが、それほど多くはない。
ボーイさんなんかもいそうなもんだが、この宿には居なかった。
「煌びやかな装飾の割には必要最低限のサービスのみという感じもするし、不思議な感じがするな。俺の感覚とは違うってことかな」
「ちょっとシュン!そんな事はどうでもいいから早く大浴場に向かいなさいよ!」
リエに「はいはい」と返事をしながら、催促されたとおりに僕は大浴場へ向かった。
――首都パルドン 高級宿 大浴場
「うわー!広い!」
大浴場は広かった。充分泳げるだけの広さがある。お客さんもちらほら居るみたいだけど、広さの割に少なかったから、これならリエを連れてきても大丈夫そうだ。
僕は一旦脱衣場に戻り、道具袋にいるリエを呼んだ。
「湯気で遠くまで見通せないし、だだっ広いからリエを連れていけそうだよ。さ、いこう」
「やったぁ!私もお風呂に入りたかったのよね~。体は自分で洗うから。浴場へ向かいましょ!」
僕はリエを連れて、浴場へ戻った。
僕の後ろに隠れてリエが浴場へ入る。
僕はそそくさと浴場の洗い場に向かう。
洗い場についた僕とリエは周りに誰もいない事を確認して、体を洗い始めた。
「ふぃ~。しばらく汗をかきっぱなしで洗えてなかったから、気持ちいい」
隣を見るとリエが妖精の服を脱いで体を洗っていた。
「こっち見るな!」
リエに怒られた。
まぁ、フェアリーと言っても小さいだけで人間そっくりですもんね。
いろいろと気になるけど、僕はなるだけリエの方は見ないようにすることにした。
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