開店して大忙し

――一週間後


「商品リストをたくさん作って公共の場所に置かせてもらったし、チラシもバラまいた。商品もあるし、あとはお客さんが来るのを待つだけ!」


 ついに僕たち五人の店が開店した。名前は、某インターネット通販にちなんで、『密林商店』とした。


 一応、注文は基本的に郵便もしくは直接事務所に来てもらって依頼してもらうか、だ。


注文が入ると、シーナちゃんがペガサスに乗って運ぶことになっている。


おいおいは荷馬車や荷馬で召喚獣を使わないで運んでもらおうと思っているけど、今は宣伝もかねて、ペガサス便だ。


「こんにちはー。郵便でーす!」


 来た! 思った以上にたくさんの郵便が来ていた。


「うわ、おにーさん、いっぱい来たね!」

「ほんと、十数枚依頼書が届いています」

「あたし、早速商品を持ってきますね」

「私も!私も! 商品みてくる!」


 初日から十数枚の依頼書が届き、上々の出だしだ。


 早速、メイムちゃんとアリサちゃんが商品のピッキングをして、僕が商品代金依頼書を用意する。それを、シーナちゃんとユキちゃんに渡して、配達に出てもらう。シーナちゃんはペガサスで、ユキちゃんは荷馬だ。


「じゃあ、おにーさん、行ってくるね!」

「シュンさん、行ってきますね」


 シーナちゃんとユキちゃんの二人が配達に出かけた。


カタログ通販だから、基本的に着払いだ。商品を配達して、代金を受け取る。


これから、毎日仕分帳や総勘定元帳つけないとなぁ。


本日の午前の売り上げ点数は、25点。平均単価は、銀貨5枚。


合計で銀貨125枚程度の売り上げだ。食べ物は高級食材、雑貨も高級品ばかりを揃えたのが良かったみたいだ。早速仕入れた商品が捌けていくこの快感。


「仕入れ値は販売価格の7割だから、銀貨37枚の儲けだ。一日で銀貨37枚、日本円換算だと37000円。ここから、僕たちの日当を衛兵と同じとして銀貨6枚ずつ引くと銀貨7枚の儲け。まだ午前の郵便だけでこれだけの稼ぎが出たなら、すぐにもっと稼げるようになるなぁ!」

「シュンさんにずっとついていく! 私も貧乏エルフは卒業だね!」


 アリサちゃんがふんふんと鼻を鳴らしている。森の民のエルフはお金儲けに縁がない生活をしている。


森で暮らす分には問題ないが、王都ではお金がないとさすがに厳しい。


前途有望なこの商売で一気に大金持ちになれそうと聞いて、大はしゃぎしている。


「あたしもシュンさんについていきます。ほんと、パーティーメンバーになってくれて嬉しいです」


 メイムちゃんが僕の両手をしっかりと包み込み感謝の気持ちを伝えてくれた。メイムちゃんはおっぱいが大きいから両手で包み込まれると、手におっぱいが当たるのだけれど、そんなことはおかまいなしだ。天然の悪女、もとい、聖女なんだ。


「それじゃあ、もう一仕事しますか。もう少ししたらシーナちゃんたちも帰ってくるだろうし」


 アリサちゃんとメイムちゃんは頷き、商品のピッキングと梱包に向かう。


僕は帳簿を付けて、なくなった分の在庫を仕入れに市場へ向かった。

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