文明レベル
僕たちの部屋はツインベッドが二つに、人が寝られそうなソファが一つという構成だ。アリサちゃんたち四人がベッドで僕がソファに寝ることになりそうだ。
バスルーム、トイレありの部屋だから、部屋から出る必要はなさそうだ。
この世界は中世時代のようだが、下水道や水洗設備は既に整えられているため、不自由することはあまりない。
俺が居た世界とこの世界、どちらが歪な発展を遂げているのかは不明だが、ひょっとすると、俺が居た世界の方が歪なのかもしれないな、と思うことも多々ある。
この異世界は機械文明が発達していないこともない。ドワーフやエルフの一部が作り出した機械文明は俺の居た日本より発達しているらしい。フェアリーのリエが以前教えてくれた。
アイ=レンやフル=フランはほぼ同等の文明レベルだ。
アイ=レンは魔法技術や冒険者ギルドが発達し、フル=フランは竜族との交渉が進み、竜騎士、竜騎兵が発達し戦争技術に特化している。
つまり、フル=フランは魔法技術や内政技術の発達したアイ=レン国が喉から手が出るほど欲しいのだ。戦争国家のために自国を発展させるより侵略して奪うという考え方が強い。
アイ=レン国は肥沃な土地、恵まれた海産資源、ドワーフやエルフによる機械文明(俺は未確認)や魔法技術、優れた内政・政治力と世界有数の最恵の国だ。
今回の戦騒動は必然であると思われる。
ユロペン大陸の西半分を領土としたフル=フランは東の大国ロシディアとは国境の小競り合いは続くが大々的に侵攻する気はなく、島国のアイ=レンを先に狙った。フル=フランより更に広大な領土を持ち、性質も残虐非道と聞くロシディアと正面からぶつかるよりも、アイ=レンを先に領土にしようとするのは理に適っている。
「とまあ、今の僕たちの取り巻く状況はこんな感じなんだ。アリサちゃん」
アリサちゃんたちと一晩過ごすことになった僕は、あまり政治や国について詳しくなさそうなこの四人にレクチャーをしておいた。
「王国学校で習ったから大体の事は知ってましたよ! でも、実際に戦争になるかもしれないなんて実感がわきませんでした!」
「あたし、戦争なんて……。また、多くの人が死んでしまう」
メイムちゃんが頭をふって落ち込んだ。メイムちゃんの過去に何かあるのかな?
「この際だからシュンさんに話しておきます。メイム、いいよね?」
「うん……」
ユキちゃんがメイムちゃんの頭を撫でながら、優し気な口調で僕に語り掛けた。
「私とメイムは同郷なんです。フル=フランやロシディアより更に東にある国、ヤパと呼ばれる小国の出です」
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