二人きりのクエスト5
「シュン! こっちからもケイブ・アリゲーターが来ているわ!」
僕たちの後ろの下水からもう一体のケイブ・アリゲーターが現れたのだ。
「やはり、複数体いたか。しかし、サイズ的に二体で終わりだろう。後ろの奴は僕が相手する!」
僕はシーナちゃんを護りながら、後ろから現れたケイブ・アリゲーターの前に立ちはだかった。
「最初から全力で行く! 召喚剣!」
僕の周囲に二本の長剣が現れた。さらに僕は背中に背負っていた大剣を鞘から抜き放つ。
「行くぞ、化け鰐!」
ケイブ・アリゲーターの攻撃を二本の召喚剣が防ぐ。僕は攻撃を防ぎ交差になった召喚剣を足場にして、高く跳んだ。
「これでもくらえ!」
僕の大剣がケイブ・アリゲーターの頭に振り下ろされる。
ドガッ!
ケイブ・アリゲーターの頭に深く食い込む大剣。しかし、まだ倒せない。
僕はすぐに体勢を整え、召喚剣でケイブ・アリゲーターの前足を攻撃する。
二本の剣で右前足を攻撃し、見事に切り裂いた。
ケイブ・アリゲーターの右前足が跳ね飛ばされ、地面に落ちた。
「ぐぎゃああああああああああああああああ」
咆哮をあげて僕に大きな尻尾を振ってきた。僕は大剣の腹でそれを受け止めた。
「くっ」
威力が大きく、地下下水道の壁に叩きつけられてしまった。
「おにーさん!」
「きちゃダメだ!」
ケイブ・アリゲーターが吹き飛ばした僕よりも声をあげたシーナちゃんの方へ向かっていった。
「まずい!!シーナちゃん!!」
僕はダッシュでシーナちゃんの傍へ駆け寄る。それと同時にケイブ・アリゲーターの鋭い左前脚がシーナちゃんに振るわれる!
「シーナ!」
シーナちゃんを僕の身体全部で護る。
僕の背中は引き裂かれ、シーナちゃんもろとも壁に吹き飛ばされた。
「おにーさん……、おにーさん」
「大丈夫。これでガーディアンクラスの習得条件達成だ」
身体中から激痛が走っているが、僕はシーナちゃんに何でもない風に見せた。
「しっかし、やっぱり僕前衛じゃないし、ちょっときついな」
ちらりとゲルボロスの方を見ていると、ちょうどケイブ・アリゲーターの息の根を止めているところだった。
「よし! ゲルボロス! こっちも頼む!」
僕はゲルボロスが来るまでの間に、召喚剣でケイブ・アリゲーターを攻撃した。しかし、右前足を跳ね飛ばされて学習したのか、鋭い左前脚の爪で攻撃が防がれた。
宙に浮く二本の召喚剣と激しい剣戟を行うケイブ・アリゲーター。
「よし、時間稼ぎは終わりだ。行け!ゲルボロス!」
ケイブ・アリゲーターの後ろに迫っていたゲルボロスがケイブ・アリゲーターの身体を引き裂く。
断末魔の声をあげながら、下水道の中に倒れるケイブ・アリゲーター。
「ふぅ……。なんとか倒せたぁ」
僕はゲルボロスを送還して、シーナちゃんの傍にやってきたらシーナちゃんは泣いていた。
「おにーさん、ごめん。うちのせいで……」
背中はズキズキと痛むが、この程度じゃ死なないから大丈夫。だから、僕はシーナちゃんを抱き寄せて頭を抱いてあげた。
「うち、うちね? 家族が居ないの。それでもこの王都ロンドは多種族を受け入れて教育してくれる国だったから今まで生きてこれた。でもね、やっぱり学校では何かと虐められて……。アリサやユキ、メイムも同じような境遇だった。だから、王国学校で出会った時から仲良しなんだ。だから、学校を卒業してね、国に恩返しできないかって考えて冒険者になったの。それなのに、護ってもらってばかりだね。おにーさん、この御恩は絶対返すからね、いつまでもうちは覚えてるから。だから、ずっと一緒に居てね」
僕はシーナちゃんの健気さに胸を打たれた。この子たちを護ってあげないとな。
僕は優しくシーナちゃんを引きはがし、頭を撫でてあげた。シーナちゃんは目を細めて嬉しそうにしていた。
「それじゃ、討伐も終えたし、ガーディアンのクラスも習得できたし、万事解決!さ、帰ろう」
僕とシーナちゃんは帰りの道中、手を繋いで帰って行った。
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