スペシャルクラス
一夜明けて僕は朝早く起きて、身体を鍛える鍛錬を行う。
召喚士といえども、身体を鍛えておかないと、色々と大変なのだ。
家の中にあった大剣を取り出して振る。無心になってひたすら振る。
普段は大剣なんて持って行かないけど、何故か家にあったので身体を鍛えるついでに振っているのだ。
冒険に持って行っている武器は大体、杖に弓矢、ダガーぐらいだ。大剣なんて大きいもの持っていくと邪魔だから。でも、これからはパーティーで冒険に出るから持って行ってみようかな。
「あれ? シュン! 能力石板が光ってるよ!」
フェアリーのリエが起きたようだ。それで、何々……。能力石板が光ってるだって。
「なら、能力石板持ってきてー!」
リエは小さい体で一生懸命、僕の能力石板を持ってきてくれた。どれどれ、僕は能力石板を手にとって見てみた。
「スペシャルクラス……? 召喚騎士レベル1って書いてあるな」
召喚騎士。なるほど、召喚士レベル40で大剣スキルを上げるとなれる、ということかな?
「やった!やったね!シュン!念願のスペシャルクラスだよ!」
「え、おお。めちゃんこ嬉しい。あの子たちとパーティー組んでから良い事尽くしだ。召喚騎士レベル1で覚えるスキルはなんだろう?」
召喚騎士レベル1:召喚剣レベル1
「召喚剣? なんだろ。ちょっと使ってみようか。大剣を振り上げて、いざ!召喚剣!」
僕が召喚剣と唱えると上空に二つの剣が現れた。その剣は僕の意思と連動しているようで、僕が右に動けと思っただけで右に動いた。二本の剣を別々に動かすこともできる。
「おおおお。自由自在に動かせる宙に浮いた二振りの剣だ。これが召喚騎士のスキルか~!剣士や騎士より強いのではないか。自分も合わせて三人分の攻撃が出来るし」
召喚騎士は戦闘に特化したクラスのようだ。僕は他に戦闘に特化したクラスのレベルが上がってないから一抹の不安があったが、これで自分自身もかなり強くなるぞ。
僕は一通り『召喚剣』を試した後、アリサちゃんたちと合流するために、準備をすることにした。
――王都 王立女子寮
「あ、シュンさんだー! おーい! シュンさーん!」
「うぅぅぅ」
いつも元気なアリサちゃんが僕に挨拶してくる。その横では何やら項垂れているシーナちゃんが居る。
「あれ、シーナちゃん、落ち込んでるね。一体どうしたの?」
がっくりと項垂れるシーナちゃんの代わりに今朝も色っぽいメイムちゃんが答えた。
「それが昨日、冒険者ギルドからの帰りにレベルも上がったし、報酬もたんまりもらったから、羽目を外しちゃって。どうやら、クエストの報酬金を全て掏られてしまったみたいなんです」
シーナちゃんはメイムちゃんが僕に事情を話す間も涙を目に溜めながら、俯いている。
「せっかくの初クエストの報酬のお金だったのに……」
シーナちゃんの涙は僕の胸にくるものだった。
「なるほど。よし、じゃあ、今日はシーナちゃんのクエスト報酬を取り返しに行くか」
「えぇ! 良いのでしょうか? 可哀そうではありますが、シーナが羽目を外したせいでもありますし」
「ユキちゃん、大丈夫。僕は狩人と盗賊と鑑定士もレベル上げているから、遺失物の捜索も持ってこいさ」
ぐっと親指を立てて合図する。メイムちゃんが、あらまあ今時そんなポーズする人居ませんよ、なんて笑っている。
「召喚! 狼!」
僕は召喚士レベル1で覚えるワンちゃんを召喚した。ワンちゃんにシーナちゃんの匂いを覚えさせ、犯人を追うのだ。
「よ~く、嗅げよ。嗅いだら、ここに居るシーナちゃん以外のところで、匂いのするところに向かうんだ」
「お金だから……。もう使われているかもしれませんね」
「そうかもしれないけど、まだ昨夜のことだし、わからないよ。探す価値はあるだろう」
「そうですよね。頼りにしていますね。シュンさん」
「おにーさん……」
ユキちゃんに頼りにされてしまった。シーナちゃんは瞳をうるうるさせている。アリサちゃんとメイムちゃんは召喚狼と共に先に向かってしまっていた。僕たちも後を追いかけないと。
「シュン、私も手伝おうか?」
僕の背中から声がする。背中の道具入れのカゴの中に入っているフェアリーのリエが手伝ってくれるという。
でも、僕は断った。召喚狼もいるし、とりあえず、僕たちだけで犯人を見つけてみようと思った。
「あ、お~い。待ってくれー!」
僕はアリサちゃんとメイムちゃんに追いつくべく、全力で走った。
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