帰宅
――王都 冒険者ギルド
僕たちは道すがら、ゴーレムから受けたダメージを回復させ、王都の冒険者ギルドまで戻ってきた。せめて、報酬だけでももらって少しでも気分を晴らそうと思った。
「はい、確かにクエストは完了しています。しかし、ボスモンスターの一体はSランクパーティーさんたちが倒したとのことなので、クエスト報酬は半分になります」
「ああ、はい、半分ですか……。確かにゴーレムは強かったけど、炭鉱内のモンスターを一掃したのは、わたしたちなのにぃ」
「はは。まあ、仕方ないよ。もっと強くなって、あのゴーレムみたいなモンスターも倒せるようになろう!」
「おにーさんのように早く強くならなきゃ!」
アリサちゃんは半額の報酬に不満があったようだが、僕の一声で気を取り直したようだった。シーナちゃんはもっと強くなるぞ!と元気満々だった。
ギルドで報酬を山分け(ユキちゃんとメイムちゃんは僕の分の取り分を多く、と言っていたが断った)したあと、今日のところは皆、帰宅することとなった。
――王都ロンド シュンの家
「はぁあああ。疲れたー!」
僕は仲間を守りながら戦うということに慣れていなかった。ソロでダンジョンに潜ってばかりだったから、パーティー戦は初めての体験だった。
『シュン』はSランクでパーティーで冒険していただろうが、俺、平吾は初めての経験だ。
それにあんな可愛い女の子だ。もしも、何かあってはいけないと思って、オーバーキル気味の召喚魔法を使ったんだ。
装甲ムカデはレベル20だったし、ゴーレムも25。
あの子たちが居なければ、ゴーレム戦でも即座にドラゴンを召喚して倒せていただろう。
本音を言うとSランクパーティーの奴らが来ていたから、奥の手は見せたくなかった。だから、あの場はあれでOKだった。
「ぷあ~。ようやく外に出れたぁ」
フェアリーのリエが僕の道具袋(大)から出て来た。
僕の道具袋は特別製となっていて、かなり大きい。その中にフェアリーのリエが入るカゴや弓矢やなんやらが入っている。
今はパーティーに加入して、後方支援役に徹するつもりだから、リエのカゴを持っていても問題ないだろうと思ってのことだった。
「全くゴーレムに吹っ飛ばされた時は私ごと潰れちゃうのかと思ったよ。でも、なんとかなって良かったわね。あの嫌味なイドリオに助けられた形になったけど、ま、ある意味シュンの思惑通りだね」
「レベル25のゴーレムぐらいじゃ僕はやられないよ。それにしても、Sランクパーティーの奴らは僕がまだ弱いままだと思ってる。油断しているはずだ。その間にあの子たちのレベルを上げて、すぐに見返してやる」
「そうそう。その調子。私も居るし、もうシュンが負ける要素なんてどこにもないよ!」
僕はその日、パーティーでの冒険を思い出していた。今まではソロでダンジョンに潜っていただけだった。
あんな風に大勢で冒険に出かけるなんて一度もなかった。
なんだか、明日になるのが待ち遠しい。今頃、気分が昂ってきたんだ。また、冒険に出たい。あの子たちと一緒に。
そう思いながら、僕は心地よい眠りについたのだ。
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