二人きりのクエスト2

――冒険者ギルド


「二人だからなぁ、何のクエストを受けようかな」


 冒険者ギルドについて掲示板に張り出されているクエストを見てみる。


クエストは冒険者ギルドの受付のお姉さんからリストを受け取って選ぶ方法と、毎日の新着クエストを掲示板に張り出したものの二種類がある。


 掲示板のクエストは鮮度が高く、割の良いクエストはすぐになくなってしまう。


「シーナちゃん、何が良い? 自警団らしく、王都内のクエストにしようかなと思うけど」

「うちはねー、シュンさんとならどこでも良い!」


 シーナちゃんがまた僕の腕に絡まってきた。周りの冒険者の視線が冷たい。

いちゃいちゃしてんじゃねーぞ、という心の声が聞こえてきそうだ。


「シーナちゃん、あんまりべたべたしちゃダメだ。と、とにかく、この王都下水道に出没する大ネズミ退治でも行こうか。カサカサと動き回る不快な生物もいそうだけど、遠くから攻撃すれば大丈夫かな。レベル15のクエストだから、レベルはそんなに上がらないと思う」

「んー、うちもアリサみたくレベルをもっと上げたいから、もう少しレベルの高いクエストが良い!」


 レベル30オーバーのクエストだとシーナちゃんを庇いきれなくなる恐れがあるんだよな。

 クエストに迷っていたら、冒険者ギルドの受付のお姉さんが近寄ってきた。


「シュンさん、でしたっけ。元Sランクパーティーの。評判聞きましたよ。昔はお荷物だったのに、今じゃ召喚士レベル40になってSランクパーティー以上の活躍をしつつあるって。そんなシュンさんにこなしてほしいクエストがあるんですが、どうでしょう?」


 受付のおねーさんは満面の笑みだ。ちょっと前までは愛想が悪かったように想えたけれど、やはり有名になると違うんだなぁ。


「ちょうど迷っていたところです。どんなクエストなんですか?」


 受付のおねーさんは僕が食いついたと見て、クエストの依頼をまくしたててきた。


「はい! またしても王宮からのクエストなんですけれど、実は王都の地下下水道に住み着いた怪物ケイブ・アリゲーターレベル30を討伐してほしいです!」


 地下下水道のクエストは受けようとしていたけど、ケイブ・アリゲーターってなんだ!?


「ケイブ・アリゲーターってあのバカでかい鰐のことね。シュンなら余裕だけれど、シーナを護りながらだときつい? でも、昨日やこの間と同じだよね。油断しなければ大丈夫よ」


 リエが横から口を挟んできた。そのぐらいはわかってる。でも、保証はできないな。シーナちゃんに聞いてみようか。


「シーナちゃん、このクエスト受ける? レベル30モンスターだから、安全は保証できない。それでも大丈夫?」

「おにーさんと一緒なら大丈夫! 信じてるもん、うち!」


 シーナちゃんは僕に全幅の信頼を置いているらしい。


「そっか! じゃあ、僕も腹をくくって! シーナちゃんを絶対に護って、クエストを達成する! ギルドのお姉さん、そのクエスト受けます!」

「さすが! ありがとうございます! それでは、これ、クエストの詳細です。いってらっしゃい!」


 ギルドのお姉さんはクエスト詳細を記載したノートをくれた。地下下水道の地図と生息する生物について書かれているようだ。

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