第11話 記憶がないからわかりません
風間先輩は僕にいろいろと質問を仕掛かけてきた。と言ってもなぜか女性について。女性に興味がある? とか私ってどう? とか好きな人いるの? とか。
うーん、なんか違うなあと思いながら僕は
「あの、風間先輩? はっきり言いますけど僕記憶がないって伝えましたよね。なので知り合いなんてろくにいませんしそういう気持ちって今の所さっぱりですよ。それに今は僕自身のことで手一杯っていうのもあるので」
と僕がそう言うとちょっと残念そうに
「あっそうだったわよね。ごめんなさい。坂井くんがどういう人に興味があるのかなあって気になっちゃって」
となぜそんな事を気にするのかわからない僕。でも答えられないので
「今の所聞かれても無意味です。分かってるかなあと思ったのに」
と僕は風間先輩に返す。すると風間先輩は
「ごめんなさい。でも、まったく白紙の状態なのね。わかったわ。頑張るから」
とよくわからないことを呟いていた。まあいいかと僕は風間先輩にそろそろ戻らないとと伝えようとしたところに
「こんなところにいたんですか。風間さん。遅いんで心配しましたよ」
そう言って白石先輩が屋上へとやって来た。すると僕の顔を見て
「なんで坂井がここに居る? 風間さんになにかしたのか? 」
となぜか僕が悪者にされる展開。ええ、なにそれ。風間先輩と話すだけでこんなおまけついてくるとは失敗したなあとがっくりしてしまう。すると
「坂井くんはなにもしてないわ。たまたま坂井くんが屋上にいたので話を聞きたくて私から話しかけたのよ」
と風間先輩がフォローしてくれた。
「何を話されていたんですか? 」
と白石はまだ僕に対しての不信感について諦めないのか風間先輩に尋ねてくる。でもさっき話していた内容言えないでしょ? 風間先輩どうするんだろ? 僕は風間先輩に任せようと黙って聞いていることにした。
「えーと、プライベートのことになるからごめんなさい。言えないわ」
風間先輩なんてこと言ってんの? プライベートのことって訳わからないって。なんでこの人こんなにお馬鹿さんなんだよ。
「はぁ……そうですか。とりあえず諦めますけど坂井、お前はさっさと帰れ」
と言われたので、こんなところいられるかと僕は
「はいはい、帰りますよ。じゃ失礼します」
僕はそう言って屋上から去り家へと帰宅していったのだった。
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