第02話 喧嘩
仕方なく僕は近くにいる女子生徒に声をかける。
「ごめん。僕の席どこかな? 」
僕が尋ねた彼女はまさか声をかけられるとは思っていなかったようで困惑しながらも僕の席を指で指して教えてくれた。
差された先の席を見てみると花瓶やら華が飾られていて落書きなんかもされているようだった。僕はなんだこれ? と思うしかなかった。ただこれを見て僕は思った。僕っていじめられていたんじゃないかと。
けれど今の僕には過去いじめられていたとしてもどうでも良いことだった。クラスメイトの顔さえ覚えていない、性格さえ知らないいわゆるどうでも良い人達ばかりしか周りにいないのだから。嫌われていたとしたらそれで結構。だから気にしないと僕の席へと近づいていった。
そしてまずするのは
「邪魔」
そう言いながら花瓶を叩いて叩き落とした。
ガシャン……ガチャと花瓶が鳴らす音。そして叫ぶクラスメイト達の声。
叫び声とともに花瓶は床に落ちるとともに音を立てて割れては水を撒き散らした。けれど僕は床へと落ちた花瓶の破片や流れ落ちた水を気にもせずそのまま席へと座った。気にしないと。
「なにすんだよ、おまえ」
「キャー」
「ちゃんと掃除しろ」
「危ないじゃないか」
クラスメイトからいろんな声が聞こえてくるが知ったことじゃない。なぜこんなものが僕の席においてある? ふざけるなと。僕は生きているんだぞと。
「よくそんな事いえるもんだね。置いたやつに片付けさせればいいだろ。僕は知らない」
そう言うとまさか僕がそんな返しをしてくるとは思わなかったのかみんな唖然としていた。すると1人の男が
「よっかっこいいね。でもいつからそんなに偉くなったんだい? 今までペコペコしてたくせに」
と僕に声をかけてきた。頭は金髪で顔は格好いいんだろう……そして制服を着崩してきているそんな男。でも記憶のない僕には誰だかさっぱりわからない。まあ良いかと
「事故にあった後からかもね。というか声かけてこないで。なぜかわからないけどイライラするよ、君の顔」
僕はそう言い返した。すると気に触ったのだろうその男は僕に向かって殴りかかってきた。
僕はその男に顔を殴られ席ごと吹っ飛んでしまう。けれどこれくらいの痛みなんてなんてことないななんて思っている僕がいた。あの痛みに比べれば……ってあの痛みってなんだと考えてしまいそうになる僕。よくわからない感覚が違和感を感じさせた。
僕はすぐに立ち上がり、これならやり返せると殴りかかってきた男に殴り返す。男は吹っ飛んだのを見たせいか余裕を持ちすぎて隙だらけだった。おかげで顔に一発当てることができた。しかし殴ってみて分かった。僕にはそれほど強い力はないと。だからその男が殴られ顔が横に向いたところを僕は腹を狙って前蹴りを入れた。
すると前蹴りが効いたのだろう男が膝をつく。けれど僕は止まることがなかった。止まればきっと反撃される気がしたから。
膝をついているところにまた蹴りを入れる。今度は顔に横蹴りで。
すると男は黒板の方へと吹っ飛んでいった。そこで僕は止まった。止まらざるおえなかった。
「あなた達なにしているの! 止めなさい! 」
という静止の声が聞こえてきたから。
僕はその声がした方を向いてみるとなぜか竹刀を持っている女子生徒がそこにいたのだった。
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