第60話 ふたりとの関係はこれから【完結】



 そんな中


「そういえば坂井くん。もう落ち着いたよね。記憶をなくしてから」


 いつの間にかみんなの輪に入って会話しだした風間先輩。というか風間先輩も変わったよなあ。白石先輩も屋上の風間先輩を見て驚いていたっけ。


「んだね。あとは何も起こらなければのんびりと学校生活を楽しむ予定かなあ」


 そんな風間先輩の問いかけに僕はそう答えると、身を僕の方に乗り出して


「だったらデートしよう! 」


 そんなことをいきなり言い出す風間先輩。まあ別にいいんだけれど……ただね。風間先輩だけであれば……ね。するとやはりというか出てきたのは榊原先輩。


「では私ともしましょう。デートを」


 はあ……やっぱりこうなったかと頭若かえる僕。だってさ。金沢は榊原先輩を気に入っているわけでさあ。でも金沢はそういうことに対して言葉を発してこない。というのも「見ているだけでいいよ。会話に混ざれるだけでいいよ」といつもの前向きさが全く見られないんだよね。ただ……


「坂井。お前ふたりとデートするのか? そんな爛れたことをしてはいけない。どちらか選ぶべきだ。いやお前は一人でいろ! 」


 とそんなことを告げてくるのは白石先輩。というか白石先輩。帰ってくれません? 本当にそう思ってしまうほどいつも面倒くさいんだよなあ。


 そんなことを考えていると


「まあ仕方ないよな。そんな簡単に選べないだろうとは俺も思うし。ただ……姉さんを巫山戯た扱いだけはするなよ」


 とちょっと不機嫌ながらもそう言ってくる榊原弟。というかほんと榊原弟は物分りが良くなったというか榊原先輩の邪魔をしなくなった。榊原弟いわく「姉さんとの関係を壊したくないから」ということらしい。


 って問題が片付いたと思っていだけれど……あったじゃないか。ふたりとの関係。いや他の人も絡んでいたりして……面倒くさい。。。




 さてどうするかと考えていると


「別に普段は3人でデートでいいよ。それでたまにはふたりで……」


 と風間先輩が折衝案のようなことを言い出してきた。それを聞いた榊原先輩も


「そうですね。そうしましょう」


 と身を乗り出してきてそんな事を言ってきた。というかこのふたり……仲良くなり過ぎでないかい? 




 そんなみんなに僕はやっぱり今思っていることを言うべきだろうと考えちょっと真剣な趣になり


「えっとね。まだ記憶を取り戻して数週間。そう、出会ってそんなもんなわけ。だから選ぶも何も僕にはできないんだよね。だからもうすこし時間を頂きたいわけです。はい。ふたりに好印象は持っているよ。でも選ぶとなると……ね。だからデートとまでは行かないけれどどこかへ付き合ったりとかそういうのは構わない。そしてもっといろいろとお互いを知る時間を作らせてほしい」


 そうみんなにも聞こえるように告げると


「けっモテ男め」


「何が時間だよ」


「選べないならふたりとも振っちゃえ」


 なんて声が聞こえてくる。


 おいおい……いじめんなよ。これらは榊原弟、金沢、佐竹の言葉だ。なぜか白石先輩は何も言わなかったのか不思議ではあるが。そんな言葉の後に何を思ったのか


「べーーーーつにふたりとも彼女にしてもいいよ? 私は」


「同じく! 」


 とわけわからないことを言い出すふたりの相手。いくら仲良くなったと言っても程があるだろ? このふたり、風間先輩と榊原先輩。




 そんなみんなの言葉を聞いてこれからもこんな感じが暫く続くのかなあと面倒くさい……と思う僕であった。


 まあ楽しくて良いのかな……

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すべてを無くした僕は1(イチ)から僕をつくりかえる ここです。 @kokotangpu

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