第04話 意味がない
「立ったまま話はなんだし座ってくれる? 」
と先輩らしい女子生徒が僕にそう言った。なので僕は無言のまま席へと座ることにした。
「まずは名前ね。私は2年で風紀委員長をしている
目の前の風間さんはひとつ上の委員長らしい。
「俺は2年の
そして男子生徒もひとつ上の先輩らしい。で、副委員長と。
「最後に私ね。
顧問だから居たわけね。と僕は理解した。皆さんから名前を聞いたので先程山西先生が伝えてくれたけれど、僕からもと
「1年の坂井 繁です。さっき話したとおり記憶喪失ですね」
と僕が伝えると風間先輩は早速と話を続けだした。
「えっと事情説明から聞かせてもらっていいかな? 喧嘩をしていたと聞いているんだけど」
と風間先輩は僕に事情を聞いてくるけれど
「うーん。でも僕が話して意味があるのかなあ。聞くならもうひとりの相手に聞いたほうが良いと思いますよ」
と僕は意味がないと言葉を返す。すると
「どういう意味だ? それともいろいろと理由をつけて話したくないってことか? 」
と白石先輩は割り込んできて僕に尋ねてきた。少しイライラしながら。
「いえ……どうせ僕が言ったことなんてひとつも信じてもらえないでしょうから。多分他の人から聞く話と僕が話す話、異なる気がしますよ? 」
と僕が言うと
「意味がわからないんだけど……」
と風間先輩は疑問そうな顔をして僕に聞いてきた。疑問に思っているのは他の人達も同じでわけがわからないといった感じだった。そんな様子を見ていると仕方ないなあと
「えっとですね。はっきり言いますけど、以前の僕はいじめられていたようなんですよ。今日もそれがきっかけで喧嘩したわけで。多分1年のクラスメイトは元より先生たちも知ってたんじゃないかなとも思います。だって僕の机に花瓶やら華が添えられてましたし。机に落書きもいっぱいでしたから。そんなの見たら普段教室に居ない先生達でも普通気付くでしょ? でも飾ったままでしたから」
と僕を聞くと風紀に関わる3人は驚いたように僕を見ていた。
「そんな状態の僕が話をして信じる人が居ます? 多分周りの人は知られたくないってごまかすんじゃないですか? そう考えると僕の話だけ違っているってなるように思いませんか? 」
と僕は思っていたことを話し終えた。すると
「私達が知らないところでいじめがあったってこと? それも先生が知っておきながら? それって本当のことなの? 」
と風間先輩は驚きを持ちながらそう僕に聞いてきた。
「えーと、以前の記憶がないんで今話した話は想像でしかないですよ。ただし、机にあった花瓶や華そして落書きはありましたね」
と僕はそれだけは間違いないと伝えたのだった。話が変えられることになるだろうなあと思いながらも。
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