第05話 負けることはないかな
「だから言います。こんな事情聴取意味ないですよ。というか風紀委員も役立っていないですよね? 喧嘩には介入するけどいじめは放置ですから。そんな風紀に話をする気にもならないって気持ちも無きにしもあらずですかね」
と僕が言うと白石先輩は
「役立っていないだと? お前になにが分かっているっていうんだよ? 」
と怒鳴りながら僕の胸ぐらを掴んできた。危なく殴りかかろうとしてしまいそうな白石先輩を
「白石くん、止めなさい」
と風間先輩は止めてくれた。まあ殴られたなら殴られたでそれでも良いんだけど。どうせ周りの人なんてこんなもんだと思うだけだ。
「少し事情聴取の話がまとまるまで待ってみましょうか。彼が言うことが本当なのか。なので一応坂井くんからも話をしてくれますか? 相違があるかどうか確認しないといけないので」
と風間先輩は言ってきた。まあ意味のあることになるのなら話してもいいかと僕は思い朝の出来事を話すことにした。大した内容はないんだけれど……
「はぁ……坂井くんの言うとおりだったわね……」
そう山西先生は呟いた。
事情聴取の結果は予想通りだった。花瓶や華なんてない。ただ僕が金髪と言い合いになって僕が先に手を出した。そんな話になっていた。もう僕は笑うしかない。こんなもんなんだって。
「ねえ? 風間先輩。言ったとおりでしょ。僕に話を聞くだけ無駄だって」
僕がそう言うと風間先輩は黙ったままだった。
「お前が嘘をついているかも知れないだろうが」
と白石先輩はそう言ってくるけれど
「白石くん、止めなさい。嘘を付くくらいなら話しても意味がないとか私達に言わないわよ。少し落ち着きなさい」
と風間先輩は再度白石先輩を止めそう告げた。まあそんな風紀委員内でのやり取りを見ていた僕はこんな茶番見ていても仕方ないしどうでもいいかと
「えーと。とりあえずみんなの話から僕の処罰が決まると思いますから。決まったら受けますのでよろしくおねがいしますね」
と僕はそう言って席を立とうとした。すると風間先輩は
「君はそれでいいの? 」
と僕を心配したような顔で見てきた。そういえば僕に気を使ってくれる人なんて両親以外に初めてだななんて関係ないことを考えてしまうも
「うーん。今なにかしようとしても多分無意味でしょうね。味方が誰もいませんから。ただ、僕にはもう失うものなんてありませんから。記憶とともに失ってしまいましたからね。だからいくらいじめを受けようとも負けることはないかなって……思いますよ? 」
そう言って風紀員室から出ていった。
さて……こんな状態じゃ教室には戻れないしどうしようかななんて考えながら。
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