第22話 邪魔もの
放課後僕は屋上に来ていた。さて、佐竹が来てくれるかどうかなんだけど不安はあった。だって少し強引に佐竹に屋上に来てもらうようにお願いしたからなあと。
どうせ屋上でまたぼーっとするわけだし、そうなったらそうなったで仕方ないかと僕はいつもの定位置に座り空を眺めていた。今日は特に何も考えず。
そんな時間を過ごしていると結構時間が経っていたようで唐突に座っている僕に声がかけられた。
「今日も空を眺めているのね。こんばんは」
声をかけてきたのはいつもどおり風間先輩だった。
「こんばんは。風間先輩が来るってことは結構時間が経っているみたいですね」
「そうね。いつもの時間、今は17時30分かな」
風間先輩はスマホで時間を見て僕に教えてくれた。うーん、やっぱりすっぽかされた?
「はぁ……すっぽかされたかなあ。まあ強引に押し付けたから仕方ないと言えば仕方ないんだけど」
と僕が呟くと
「誰かを待っていたの? え? 誰? 女? 」
そう風間先輩は僕を問い詰めてきた。
「ってなんで女? ってところで強調するんですか? 確かに女性ですけど佐竹ですよ。放課後屋上に来てってちょっと強引に呼び出したんですけど来なかったみたいですね」
と僕が風間先輩にため息交じりでそう告げると
「なんだ。呼んでこようか? まだ居るはずよ。だって風紀委員だから」
と風間先輩はなんてことのないように言った。って僕は馬鹿だった。風紀委員の仕事があるのにすぐに来れるわけないなと今頃気付くなんて。
「そりゃすぐ来れるわけがないですね。風紀委員の仕事放ったらかして屋上に来れないですもんね。やっちまった……」
と僕は頭をかきながら風間先輩にそう伝えたのだった。
「でどうする? 呼んでこようか? 」
と待てをした犬のように僕に尋ねてくる風間先輩。ってそんなに僕を手伝いたいのだろうか?
「うーん、仕事はもう終わりなんですかね? 」
「終わっていると思うよ。最後の見回りは当番制だから。あっ私は委員長だから毎日しているんだけどね」
毎日見回りとは委員長も大変なんだなあと僕は思いながら
「風間先輩お疲れさまです。忙しいなら早く戻っていいですよ」
と僕が言うと
「なによ。そんなに早く私がいなくなってほしいの? 」
となぜか怒りながら僕に言ってきた。いやそんなつもりはなかったんで謝ろうかと思っているところに
「あれ? 風間先輩? なんでここにいるんですか? 」
とある人が声をかけてきた。そう、佐竹だ。
「え? 私は見回りで回っていただけよ? 」
と風間先輩は先程の態度はどこかに消えてしまったように無くなって佐竹にそう告げていた。いや、変わり身早いって。
「風間先輩は放っておいていいよ。佐竹さん、わざわざ来てくれてありがとう」
僕は佐竹に来てくれたことへの俺を告げた。すると僕が放っておいて良いと言ったのが気に障ったのか
「なによ。そんなふうに言わなくても」
と言いながら風間先輩は壁際に座り込んでしまった。佐竹の目を気にもせずいじけていた。っていいのか? 後輩にその姿を見せても。
そんな風間先輩を見て僕は「はぁ……仕方ないなあ」と思いながらも
「風間先輩、明日付き合いますから、今日はとりあえず佐竹と話をさせてください。話が進まないです」
と僕が伝えると
「明日、明日ね。約束よ。分かったわ。ここで大人しく座ってる」
と帰るんではなく座り込んで僕たちを眺めていた。話聞くの? と思ってしまったけれどどうせ知ってるわけだし良いかと
「ごめん。話がそれて。で聞きたいことがあるんだけど聞いてもいいかな? 」
と僕は早速佐竹に話を始めるのだった。
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