第23話 でしゃばりも良い方向に
「えっと……風間先輩がいてもいいの? 」
と佐竹が僕に聞いてきたので
「ああ、別に良いよ。風間先輩も知っている話だし。それに多分動かないだろうし」
そう僕は告げた後
「あのさ。僕と佐竹って付き合っていたことってある? 」
なにも隠すこと無く直球で聞いてみた。すると
「え? なにそれ? 誰に聞いたの? そんな話」
ちょっとぎこちない態度で僕にそう確認してきた。それにしてもなぜ誰に聞いたかをそこまで気にするのだろうと僕は思った。呼び出しするときにもそれを確認してきたなあって。まあいいや、隠すこと無く僕は伝えてしまおうと
「別に隠すことないから言うよ。榊原先輩からだね」
と佐竹に告げた。すると
「なんでいつのまに榊原先輩と知り合ってるのよ。意味ないじゃ……あっ」
と佐竹は僕に告げる言葉を間違ってしまったとばかりに困った顔をしていた。
「意味ないってどういう事? 」
僕は佐竹に聞き返した。すると
「はぁ……なにもないわよ。私帰るわ」
と佐竹は会話を無視し帰ろうとした。けれど
「待ちなさい、佐竹さん。ちゃんと話していきなさい。せめて坂井くんと付き合っていたかどうかは話していって。私も困るから」
となぜか風間先輩が佐竹を止めに入る。
「え? なんで風間先輩に関係があるんですか? わけがわからない」
と佐竹は風間先輩に告げた。すると風間先輩は
「え? なぜって? だって私……ともうひとりいたわね。榊原先輩はね、坂井くんのことが気になってるの。それなのに付き合っている人がいたら困るでしょ? 」
と風間先輩は平然な顔をして佐竹に伝えていた。ってそんな事言っていいの? と僕は思ったけれど、助けてくれているんだし素直に話を聞いておこうと僕は再度佐竹を見つめ直した。すると
「なによ。なんでこんな事になってるのよ。これじゃ嫌われるじゃない。はぁ……。分かったわよ。話すわよ。私と坂井くんは付き合ってないわよ。これでいい? 」
そう言って彼女はもう僕たちふたりを見ずにさっさと屋上から立ち去っていった。
「やった。佐竹さんと何も関係なかったのね。安心したわ」
と風間先輩は嬉しそうに僕に言った。
「そうみたいですね。ただ、まだ隠し事がありそうでしたけど。まあ聞けそうにもなかったので僕と佐竹の関係はなかったって分かっただけでも御の字ですかね」
だから僕は風間先輩にそう返事した。そして僕は
「風間先輩ありがとうございます。とりあえず話が聞けたのは風間先輩がいたからでしょうし。お礼を言っておきますね」
と素直にそうお礼を述べた。すると
「いいのいいのよ。私も付き合っていないって聞けてすっきりしたし。それに明日は付き合ってくれるのよね。それで十分だわ」
と風間先輩はホクホク顔でそう僕に答えたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます