第24話 言い合い
「よかったら今日も一緒に帰りましょ」
風間先輩は先程の嬉しさそのままに僕にそう言ってきた。今回は助けてもらったこともあるし無下には出来ないなあと
「はいはい。分かりましたよ。助けてもらったことですし素直に言うことを聞かせてもらいます」
と少し投げやりな返事にはなってしまったけれどそう風間先輩に返事をした。すると
「なら急いで仕事片付けてくるからまた校門で待っててくれる? 」
と風間先輩は昨日と同じ場所を指示してきた。もう昨日も居たわけだし別にいいかと
「了解。先に行って待ってますよ」
そう僕は答えたのだった。
僕は昨日のように校門で待っていた。そこに駆け足で走ってくる人の姿があった。風間先輩かなあと思っていたのだがどうも違う。よく見てみると榊原先輩だった。
「はぁ、こんにちは。私、今から帰宅しようとしていたんですが昨日のように……いえ昨日はふたりでしたね。今日はひとりで佇んでいる坂井さんを見つけたので駆け足できてしまいました。よかったら一緒に帰りませんか? 」
と僕が何かを言う前に勢いよく榊原先輩は僕に告げてきた。
「こんにちは、榊原先輩。えっとですね、今日は風間先輩を待ってるんですよ。もうすぐ来ると思うんですが」
僕は榊原先輩の勢いに押された感じになりながらもそう返事をした。
「え? 今日も風間さんいらっしゃるんですか? うぅ本当に坂井さんは風間さんと付き合ってないんですよね? 」
と今日も待っていることに不審に思ったのかそんな事を言ってきた榊原先輩。なので僕は
「付き合ってないですよ。僕、放課後にいつも屋上でしばらく過ごすんですよ。まあ今日は別の要件もありましたが。で長居してしまうと見回りしている風間先輩に捕まりこうなるわけです」
と僕は地面を指差しながら待っているという意思表示をした。それを聞いた榊原先輩は
「そういうことですね。ということは放課後屋上にいけば坂井くんと会えるかもしれないということですね。良いこと聞きました」
と榊原先輩は嬉しそうに僕に告げてきた。そして僕は「やっちまった。なんで教えてしまうんだよ」と心の中で頭を抱えてしまった。
そんな会話をしているうちに風間先輩も校門へとやって来た。
「坂井くんおまた……ってなんで榊原先輩がいるのよ? なんでなんで? 」
とこれまた勢いよく僕にそう告げてきた風間先輩。
「私も今から帰宅するところだったんですよ。そうしたら坂井さんを見つけまして。一緒に帰りましょうと誘っていたところです」
となぜか榊原先輩が風間先輩の前に行きそう目の前で告げていた。
「えーと、榊原先輩? そんなに目の前に来なくてもわかりますって。でも今日は私が一緒に帰る約束をしていますのでおひとりで帰っては? 」
と風間先輩も負けずにそう言い返していた。すると
「そんな事言わず昨日のように一緒に帰りましょう? 風間さんをのけ者にはしませんから」
張り合うようにそう榊原先輩が風間先輩へと言い返していた。それを見て僕はこのふたり面倒くさいと思いながらもここでふたりの言い合いを眺めていても仕方がないので
「はぁ。もう3人で帰りましょう。風間先輩諦めてください。見つかってしまったんですから。それに誰かをのけ者にするってのも僕はあまり良い気がしないので」
僕がそう告げると風間先輩は
「はぁ仕方ないですね。今日はふたりで帰れると思ったのに」
と残念そうにいう風間先輩、そして
「見つけた限りはそんなことはさせません。というより私もふたりで帰る約束したいです。屋上に行かないと……」
と少し怖いことを呟く榊原先輩が出来上がったのだった。
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