第25話 報告



 とりあえず3人で帰ることになったわけだけど


「ふたりとも僕と一緒にいても楽しいことなんてなにもないのに。記憶ないからさ。面白いことなんて話せないんだよ? 面白くないことだって話すことがないんだから」


 と僕はふたりにそう伝えるが


「それならこれから面白いこと一緒に作っていけばいいじゃない? 」


 と風間先輩は言い


「そうです。ふたりで沢山思い出を作りましょう? 」


 と榊原先輩は言ってきた。すると


「ちょっと待ってよ。なんでふたりなのよ? あっそうか。ふたりって私と坂井くんってことですね」


「いいえ、私と坂井くんです。風間さんは別の方でも見つけてくださいね」


 とまたふたり争おうとしてしまう。そんなふたりに


「はいはい。争わない。仲良く出来ないならここで別れましょうか? 」


 と僕が言えば、榊原先輩と風間先輩はふたり手を繋ぎ


「「そうですね。争いは駄目ですね。仲良くしましょう」」


 とふたり上辺だけかもしれないが仲良くする様子を僕に見せてくれたのだった。




 そんな中僕は思い出したように榊原先輩に


「そういえば佐竹さんに尋ねたんだけど僕と佐竹さんは付き合っていないって教えてくれましたよ。だから榊原先輩の弟さんの言うことは違うようです。僕に榊原先輩を近づけたくなかったのか……まあ予想は出来ても実際なんで弟さんがそんなこと言ったのかはわかりませんけどね」


 と僕は佐竹に尋ねて聞いたことをそのまま伝えた。


「はぁそうなんですか。広斗がなぜ間違いを私に伝えたのか……今日にでも聞いてみます。でも佐竹さんと付き合っていないということが分かったので嬉しいです。これで遠慮するものはないんですね」


 となぜか意気込んでいるように感じる榊原先輩。最初は僕に対して遠慮があったと思うんだけどなんでだ? おかしいなあ……


「ほんと付き合って無くてよかったわ。私も遠慮なく行きますから。覚悟してくださいね、坂井くん」


 いや風間先輩は最初から遠慮はなかったよと言いたいんだけど。目の前で泣き出しそうになるんだから。


「ほんとなんでこんなのが良いんだろ? 僕って昔は知りませんが今は結構冷たい人になっていると思いますよ」


 と僕は不思議そうにふたりにそう言うけれど


「私は昔のことなんて知らないから。今の坂井くんを見て、話して気に入ったんだから問題ないわ」


 と風間先輩は言い


「確かに昔の坂井くんを見て一目惚れしてしまいましたが、内面はこれから知っていくわけですので。私の方もまったく問題はないですから」


 と榊原先輩は言ってきた。




 ふたりは僕にわからないようすこしいがみ合っている様子にも見えるが上手いこと会話が噛み合っているようにも見え結構馬があっているのかもしれないとふたりの会話を聞いていると僕は思ってしまったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る