第09話 入れ替わり
授業中らしいこともあり廊下は静かだった。そんな中僕は歩きながらどうやって教室に入ろうか考えていた。まあ今更隠れて後ろから教室に入ってもバレバレだし仕方ないかなと前の扉から入ろうと僕は決め教室へと向かっていった。
教室の扉を開け中に入る。すると教壇には男性の教師がいた。
「坂井か。用事は終わったのか? 戻ってきたのなら席についてくれ」
と僕がいなかった事情が分かっていたのだろう席につくように促された。けれど僕の席を見てみると学校へ着いた時と様子が違っていた。何が違っていたかと言うと僕の席がきれいになっていたのだ。僕はそれを見て証拠隠し? と思いながらも
「あの……机とか変わっているんですが」
と僕が先生に尋ねてみると
「うん? 私は知らないぞ。後でクラスメイトにでも聞いたらどうだ。とりあえず今は授業中だ。席についてくれ」
と知らぬ存ぜぬ、わからないならクラスメイトに聞けってこの先生逃げているのかな? それとも本当に理由がわからないのか。まあ気にしててもしょうがないと席に向かっていくとまた気付いたことがあった。それは僕の席が金髪の男の席になっていたことだ。なんで? と思うけれどとりあえず席へと向かい椅子へと座る。今日持ってきた荷物はちゃんと机の横に鞄とともにあった。悪戯とかにはあっていないようだった。
授業が始まり話を聞いていたが、ここでまた僕は気付く。内容は数学なのだが。まったくわからねぇ……。記憶とともに勉強知識も無くなっていたようだった。生活する知識があるし簡単な計算なんてできていたし、本も読めた。なのでてっきり勉強の知識も残っているものだと勘違いしていた。ほんと普通に生活できていたので全く気付かなかったよと僕は頭を抱えてしまう。
話がわからない。問題なんてわかるはずもない。教科書にはわけのわからない公式ばかり。そんな苦痛の時間がなんとか終わる。挨拶をし授業が終わるとしんどいなあと思いながらも気になっていたこと、僕は机がなぜあいつと変わっているのかを確認することにした。
僕は席を立つ。すると朝の件があったせいなのかクラスメイトが驚いたように見えた。まあそんなのはどうでもいいかと僕はある人の席へと向かった。ある人とは金髪の男だ。本人に聞くほうが手っ取り早いかなあという安易な考えでだけど。喧嘩をしたのに怖くないのか? と考えてしまうも金髪の男を見てても何も湧き出てこない。大丈夫だなと僕は金髪の男の肩を叩く。
「気安くさわんな。なんだよ? 」
と威勢よく言っているような態度で話すがどうにもおかしく感じてしまう。
「突っかかってこないんだな。朝みたいに」
僕は金髪の男にそう話しかけた。
「はっ何度も騒ぎ起こしてどうすんだよ。まあ、仕返しは考えておくけどよ」
とまたも威勢のよい態度を保とうと告げてくるが少し怯えてる? そんな感じがどうもしてしまう。
「まあいいよ。それよりもなんで僕の机と椅子、君が使ってるの? 」
と僕は直球で聞いてみた。すると金髪の男は
「どうでもいいだろ。いろいろあんだよ」
と僕に告げた後黙り込んでしまった。うーん。なにか言いたくないことでもあるんだろうと僕は諦めて席へと戻る。
それにしても金髪の男はどうしたんだろ? 朝と態度が変わらないように振る舞ってるけどぜんぜん違うし。違和感ありまくりだなあ。
僕はその違和感がわからないままその日をまた過ごしていくのだった。
わからない授業を受ける苦行というものを。
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