受賞者コメント&特別賞

 金賞「忘谷拾遺」 鍋島小骨さん


 期間中は四方八方から様々な怖い短編に襲われ続け、いま金賞のお知らせをいただいて、あるいはこれも何か怖い話の導入なのではないか? と思っています。でも作品は頑張って書いたので、とてもとても嬉しいです! 読んでくださった皆さま、審査員の皆さま、本当にありがとうございました。それでは順次北海道へお越しください。皆さま、楽しい虫ライフを!



 銀賞


「ぶち」和泉真弓さん

 銀賞をいただいたとの報を受け、おどろくとともに、とても感謝しております。

 芦花公園さんの企画でなければ、ホラーにチャレンジできなかったと思います。芦花公園さんの作品の言い知れぬ怖さは、膨大な読書量に裏付けられた神話や民話、霊的なものへの造詣などバックボーンの深みが感じられます。森に詳しい知人の女の子に森に誘われたような感じで参加させていただきました。

 人が怖いものってなんだろうと考えれば考えるほど、そこに何種かの類型があり、どれでいこうか考えてしまったり、説明に終わらない話運びの難しさを感じました。わたしは今回、社会的な女性の役割もからめ、妊娠をしたがる身体指向に導かれた、狂気のプロセスを書きました。怖がっていただけたなら、ホラーと思っていいかな……。

 参加者の皆様の作品を拝読して、思い思い感想を投げ合うのも楽しかったです。

 ホラーを書くきっかけを頂き、楽しく参加しながら話が完結できてよかったです。ありがとうございました!


「明日を夢見て」左安倍虎さん

 こういう嫌な話でも賞を頂けるのがホラーの醍醐味であり面白さだと思います。今後も自分の中の黒い部分を創作に生かしていければと思います。



「結露した手」ラブテスターさん

 銀賞をいただきましたラブテスターです。

 今回、口々に「嫌な話!」と評判をいただきましたが、じっさい自分でも終盤を書くのが本当に嫌で、投稿がしめきり日まで食い込んでしまいました。すみません。読んでくださった皆さまありがとうございます。

 もし第二回があれば、もっとホラー味を突きつめた作品で、ぜひまた参加したいと思います。



 特別賞:こやまことり賞

「美味しい話」王星遥、或いは濃茶

 選出したこやまことりさんの講評


 こやまことり: 個人的に関係性萌えのある話が好きなので、最初から最後まで百合押しのこちらの作品を選ばせていただきました。

 ホラーの題材としても私の好きなテーマです(ネタバレを防ぐためにあえてこれ以上触れません)流れとして「こういうことかな?」とわかるのですが、ラストで明かされた事実には「そうきたか」と唸りました。

 しかしこれはもう……ホラーを超えて百合の純愛でいいのではないでしょうか?

 それまで特別親しいわけではない二人が、少し世間と乖離している片方に対してもう片方の押しで世界が変わり二人は特別になる……うん、きちんと百合のフォーマットに沿っている気がします。先述した「ラスト」についても、それのおかげで特別な二人でいられるわけで……。うん、百合だ……。キャッチコピーに偽りなしですね。

 美味しい百合、ごちそうさまでした。


特別賞:御調賞

「時の鏡通過検出機」木船田ヒロマル

選出した御調草子さんのコメント:


御調草子:少年のSF冒険小説のような序盤は未知との接触にワクワクさせつつも、冒頭の語りが不穏な陰を落とし続けてホラーの世界から逃がしてくれません。

 クライマックスのシーンでは「やっぱり」と「まさか」を同時に感じて、読者として悲惨な展開を予期しつつも主人公に引き込まれて成功を信じていた自分に気付かされました。

 そしてそこで終わらず、更なる恐怖を匂わせるラスト。更に冒頭に立ち返ると、では何故いまこの話をしようと考えたのかというとびきり不穏な謎を残す構成、お見事でした。


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芦花公園ホラー賞講評 芦花公園 @kinokoinusuki

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