読め

作者 神澤芦花(芦花公園)

278

100人が評価しました

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★★★ Excellent!!!


一見無関係に思えるストーリーを読ませされる主人公。強要するおばさんが「読んで下さいねえ」と不気味に繰り返す。

一連の怪異譚を結ぶことで浮かび上がる真実より、そこに至るまでの発想が怖くなってしまった。我々は訳のわからない因果をこじつけて生きてるだけなのかもしれない。

鏡一つにしても実像を捉えることができないのに、現実を捉える事などどうしてできよう。

恐怖って税金みたいだな。想像力のたくましい人ほど損をするように出来ている。

★★★ Excellent!!!

「私」はSNSで怪談漫画を発表しているアマチュアの漫画家。一時は本を一冊出すぐらいには話題になったものの、近頃はネタ切れ気味で調子が悪い。そんな中、同じ大学の卒業生が集まるオフ会で、常連の由美子さんという主婦からいくつかの怪談を紹介されるのだが……

中学生の体験談、戦前の田舎で起こった出来事、学生サークルのブログ、民俗学者の手記と紹介された話はいずれも不気味で、読んだ後に妙なもやもやを残すのだが、本作でそれ以上に不気味なのが由美子さんの存在なのである。

「私」が怪談を読み終わると見計らったように電話をかけてきて、次の話を読むようにやたらせっついて来る由美子さん。元からやや無神経で人の都合などおかまいなしという部分はあるのだが、話が進めば進むほどその勢いは増して常軌を逸していく……。

そうやって怪談のパートと由美子さんからの電話のパートが交互に重なって物語が展開されるわけだが、こうなってくると怪談が怖いのか、由美子さんが怖いのか、もうわからない。

そうして読者を恐怖と困惑に陥れた後に、最終的には思いも寄らぬ角度から衝撃を叩きこんでくる。複数のホラー要素をいくつも掛け合わせることで、物語の怖さを何倍にも増幅させる、作者の構成が光る一作だ。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=柿崎 憲)

★★★ Excellent!!!

これだけ映像作品が溢れている昨今で、ホラーを小説で楽しむ意義は何なのか?を再確認させてくれるような作品でした。

恐ろしい映像で怖がらせることはいくらでもできますが、文字媒体からじんわりと頭の中に形作られていく「怖い何者か」は、読み手の想像力を食い物にして肥大化していきますし、それは文章中に余白というか、想像の余地を上手く残すほどどんどん膨らむ気がします。

よくよく読んでみると物語内で明かされていることは実は少なくて、そのあたりの明かされない諸々(あれ、僕だけわかってないわけじゃないよね…?)のせいで読み終えた後にも想像を巡らせてしまい、結果としてもっと怖くなる、という。

と、ここまで考えていて、自分も「しらべちゃってよんじゃって」しているなぁと気づき恐怖。読者自身の行為を含めて完結させているとしたら、相当に周到な作品です…え、どうしてくれるのこの恐怖感…

★★★ Excellent!!!

様々な時代の空気をまとった怪談が挟まれながら進む物語。
話の終わりとともに、おっと現代に戻った、と夢から醒めた気分になる。
これ以上はヤバイ気がすると嫌な予感にとビクビクしながらも、手は止まらない。そうして読み続けた先にあるものは……

「読んでくださいねぇ」

★★★ Excellent!!!

主人公はサークルの友人から怪談話を読んで欲しいとメールを4本受け取りますが、4本それぞれに異なった読み味があり、合わせて1つの物語になるところも含めて完成度が高くて良かったです。
友人のちょっと嫌な感じの人物描写や超自然的な何かが友人を侵食している様子がよく描写されており、引き込まれました。

★★★ Excellent!!!

4つのオムニバス形式の怪談の順番が、ネットで怖い話を読む人にとって馴染みやすい形態順になっているのが上手いと思います。創作世界という地獄の門を一つ一つ進んで引き込むと同時に「後戻りはできないぞ」と徐々に緊迫感を与えていて、溜めがバッチリ効いています。
本筋のクライマックスに至るまでにそれぞれの怪談で伝聞という形で残酷性を認識させた上で、現実で怪異を目撃する際に一番怖がらせるのが特に素晴らしいです。
最高です。

★★★ Excellent!!!

怖い話って作るほどに日常が怪異に近くなっていくので、どんどん世界を見る目が変わっていくんですよね。
僕にとって、ここで描かれる恐怖は遠い世界に居る哀れな人の身に起きた悲劇などではなく、船底の板一枚を剥がせば容易に自らも飲み込まれる現実です。
向き合うからこそ僕は作品を作れる。けど加減を誤れば……僕もまた物語の最後に現れたものに飲み込まれることでしょう。
言葉は命で、それは怪異を取り込むことで容易く怪物へと成長する。
そうでした。そういえばそういうものでした。

★★ Very Good!!

この作品に限った話ではないのだけど、芦花公園さん、どうも「読め」と言うまでもなく「読ませる」力があるタイプの人だなと思っていて。読めと言われるまでもなく読めてしまうし、頭を打ち付けて懇願する必要も全くない。全体的に「読み手が飽きる前に別の話に行く」ある種の多動っぽさがある文章だという印象があり、飽きっぽい自分にはちょうどいい。一方、これが手癖なのだとすれば、もっと長くて重くて深くて嫌になるようなものを書いたらどうなるのかな、というのが気になるところなのですが……案外さらっと書いてしまう気が。楽しかったです。

★★★ Excellent!!!

 オカルト同行会で少し煙たがられている専業主婦由美子と、主人公のやりとりを中心にして描かれるホラー。
 最初はなんてことないよくあるお話が、読み進めるに連れて繋がっていく不気味さと引き込まれていく魅力は怖いながらも楽しめました。

 読み終わった後に、つい自分のメールボックスを確認するのが怖くなる。そんな作品です。

ぜひ皆さんも「最後まで読んでくださいねえ」