「白黒」逢咲あるすとろ

 黒人:「無」ってめっちゃ怖いよね!というホラーでした。

 主人公と言ったらいいのか被害者と呼んだらいいのか、彼の描写が絶妙に枯れてて色も温度もない感じなので、この小説のテーマに合致しています。

 ただ、個人的にこの人は有象無象なりに頑張って人生に取り組んでいたので、「無」認定されてしまうのはちょっと不満を感じますけどね。そこまで含めての不条理展開なのかもしれません。

 途中で出てくる物体X的な怪物?怪人?にSFチックな魅力があります。これ、ホラー解釈勿論できるんですけど、藤子F不二雄先生の短編集みたいな雰囲気もありますね。ガッツリ原因と結果が説明されてるからだと思います。だからSFとしてはいいんですが、ホラーとしてはその点が少しマイナスです。ここは本当に好みの問題なんですけど因果関係がはっきりしない方が恐怖度は高いので。



人外;キャラが魅力的な訳でもないので色々難しい部分がありましたね。

 コンセプトやギミックは良いのですが、この主人公は読者を物語に没入するほど魅力的なのかが難しい。

 例えば「良いぞ! 死ね! おっしゃあ!」ってなるクズなら良いんですよ。愉快なので。

 逆に「死なないで! お父さん! ああ!?」ってなる良い人でも良いんですよ。愉快なので。

 半端だから帰ってこれないというコンセプトのせいでキャラが立ちづらくなってますよね。

 半端ながら魅力的に書くってなるとこの筋書きだと今度は難しいと思うんですよ。

同じギミックで別の筋立てにするのが良いんじゃないかなあ……!

 あとメイン二人で会話仕立てにしつつ、同じギミック使って帰ってこれる方とこられない方みたいなのにするとか。

 惜しいところでした。


巨乳:ロボ!という印象が強いあるすとろくんの初ホラー!

 どことなくクトゥルフっぽいなと思ったのですが、多分詳しくは謎の人外先生が解説してくれるはず。

 事件に対しては情熱的で、仕事関係の人からは信頼も厚い主人公が熱心に謎の事件を追うというスタートが多分クトゥルフの探索開始みたいな印象になるのかな?と思いました。

 怖さや気持ち悪さは控えめなのですが、不思議な雰囲気はあってどちらかというと現代ダークファンタジー的な雰囲気が強い気がします。

 今回初めてホラーを書いた人だと結構多い気がしていて、気持ち悪さや異常さを全面に押し出すよりは、不思議でちょっと理不尽がホラーの印象なのかなと興味深く読ませていただきました。

 文章はとても読みやすく、すごく好きなので今後もホラーチャレンジしてほしいな!一緒にガンガンキモい異常者を書いていきましょう!

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