芦花公園ホラー賞講評

「完結済」双葉屋ほいる

　黒人:皆さんは虫です。

　いいですね、こういうモキュメンタリーっぽいホラー。登場人物を実在の人物に寄せてるのでドキリとした読者も多いのではないでしょうか。

　確かに私が今やっていることって百物語なんですよね。実際の投稿件数は100には遠く及ばないので安心なんですが、実際100集まってしまったら……。そういうホラーでした。

　ストーリー自体は面白いのですが、モキュメンタリー形式をもっと不気味にしたいなら、最後の後輩の視点から書かれたものは章を分けた方がよりリアルだったと思います。

人外：KUSO小説の名手がホラーに参戦！

　狂気の筆致から生み出されるめくるめく恐怖劇！　双葉屋ほいるの入場だ！

　まず僕の作品をお買い求めいただき素敵な感想まで頂いているので無条件で100点加点からスタート！

　メタフィクション風味の作品はともすれば身内ネタに終わることも多いですが、この作品は百物語と現代のネット環境を上手く合わせて広く訴えかける力を持たせています。更に1000点追加しましょう。

　やってはいけないことをやる。そしてひどい目にあう。これはホラーの王道パターンです。それ故に非常に馴染みやすい話でしたが、その分独自性や加速を見られるので、採点は必然的に厳しくなります。

　この話でもやってはいけないことをやって、最悪の結果がもたらされる。

　それは画面の向こうの多くの人にも……と想像を掻き立てるのですが、想像に頼る部分が大きくなっているのが惜しいです。

　主人公を活かしてもうちょっと恐ろしい目にあわせてから、他の人も……ってしたら読者である他の参加者の皆様に効果的に恐怖を与えられたのではないでしょうか。

　カクヨムは読者と作者の距離が近く、どちらにもなりうるという性質を持っています。その利点を活かした筋立てだったので、もう少し主人公をいじめた後にこの結末を持ってこられると良いなあと思います。

巨乳：下ネタの権化ことほいるさん！第10回本物川小説大賞ではイキ我慢選手権で前半の話題をかっさらってくれた期待の星。

　見たことのあるシチュエーションから始まったので「お。笑える怖い話かな」と思っていたのですが、十分怖い話でしたね。

　みなさんは虫です。

　内輪受け要素はやや強いのですが、それでも物語のキーとなる「百物語」をうまく活かしているので起こった出来事の怖さは伝わってくる素敵な公正でした。

　個人的な好みを言うと、もう少し異常者などが出てきてどんなことが起こるか仄めかしたり、不穏の種を撒いてもいいかなーと思いました。

　それがなくてもとてもおもしろくて怖い作品でした。一緒に虫になろうね…

黒人：なろうね、じゃなくて皆さんは虫です。