芦花公園ホラー賞講評

「痔より妹を産みし縁」伊予夏樹

　黒人：タイトルから痔の存在感がすごく、これはもしかして「KUSO」かな？と思ったんですけど流麗な文体と美形の兄妹を思わせるキャラクター造型で、すごく耽美な雰囲気なんですよね。痔なんですけど。ゴシックホラーとしてこれはこれで完成されていると思います。痔なんですけど。事故の描写は臨場感がありました。二人だけの世界が表現したいのだな、と伝わりました。

　ラストも不気味な感じで良かったんですけど、欲を言えばお兄さんへの粘着質な愛情をもう少し説得力のあるものにしてほしかったかなと言う感じです。カタカナだとちょっと陳腐かなあ。まあでも一方的に強い感情をぶつけてくる人ってこういうものなのかもしれませんが……

　もう少し文字数があれば背徳的な雰囲気が出たかもしれません痔。

人外：たしか佐佐木信綱先生の『和歌入門』だったか、それとも定家の『毎月抄』だったか、本居宣長だったか忘れたんですけど、わざわざ汚いものを題材にする必要は無いんですよね。

　痔の痛みをテーマにしたのかなこれ……わかりません。

　あとこれは個人の感想なんですがカタカナは読みづらかったです。僕は合いませんでした。

巨乳：おっ！これは良いKUSO…と思ったら痔でした。

　近親相姦的な感情なインモラルでいいですよね。内容は違うんだけど、なんとなく、富江とスピーシーズという映画を思い浮かべました。

　カタカナで書かれた妹ちゃんの執着と、生まれてからガラッと変わる気持ち悪さは好き嫌いが分かれそうだなと思いましたが、わかりやすかったのがよかったです。

　ギャグかな？と思ったら、成り代わり系の怖い異形が爆弾するホラー、面白かったです。