「鍵っ子」ぶいち

 黒人:気持ち悪い、家庭に問題がある子供書くのうますぎでは?というのが印象です。

 とにかく多種多様な家庭不和が凝縮された小学生たち。一人として普通の子供が出てこない。

 怪異と取引をしてはいけない、などホラーのお約束を全て満たしている良くも悪くも教科書のような展開でした。悪くも、というのは最後の怪異の独白?が少し説明的すぎるきらいがあります。きちんと読めば原因も結果も分かるので意味不明なままでもよかったかも。

 あと分かっていてやってたら申し訳ないのですが、三位一体の父と子と聖霊の聖霊は英語だとholy ghostなんですけど幽霊や妖精の類ではなく父(YHWH)と子(イエス)の奇跡を実現するパワーみたいなもののことです。


人外:面白かったです。子供たちはそれが悪魔だと知らぬまま地獄に走っていってしまった。

 この本当にどうしようもないお辛い案件だったのが最後に明らかになっていくの、本当に残酷で良いですね。

 誰かが悪い訳じゃない。強いて言えば悪魔が悪い。

 何も知らない子どもたちがずぶずぶと同しようもない状況に追い詰められる残酷さが、愛らしさの混じる文体で描かれていたのですっごくグッドでした。

 これも状況が一方的に悪くなってるんですが、子どもたちが抵抗しながら死に向かっているから物語的にいいのかもしれないです。


巨乳:ホラーや気持ち悪い人を書くのに定評があるぶいちさん(褒めてる)

 ぶいちさんは、不安定になるちょっと頭の弱い女の子を書くのがうまいですよね。

 頭の弱い女の子が語り部になる場合、もう不穏さと不快さがすでにマックスでスタートダッシュとしては個人的に大好きです。

 作中の登場人物の倫理観もナチュラルにアカン…ってなるのがとてもよかった。

 少しひっかかったというか、僕の記憶力が悪いのが問題なんですが、登場人物がばーーっと羅列されてしまったので「あれ?みっちゃんのママがモンペ?あれ?がっきーじゃないんだっけ?」と戻って読まないとわかりにくかったので、そこがわかりやすく整えられたらもっとこわくなるかもしれないです。

 個人的な好みだったんですが、最後の種明かしはハッキリ書かないでもう少しぼやかしてもよかったかな?

 全体を通して不気味で怖くて先が気になるとても良いホラーでした。願いを歪んだ形で叶える悪魔的なやついいよね…。

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