「信号機」ろじ
黒人:いつもの通学路にナニカがいてどうやらそれが悪意を持っているような気がする、やっぱり持ってた、ひどいことが起こった、といった感じのお話です。
起こっていることもシチュエーションもかなり怖いはずなのにあまり恐怖度は高くない。多分文体とシチュエーションのズレのせいです。
流麗な文体ですが、主人公たちの年齢や舞台設定とは少しミスマッチな感じが否めません。ファンタジーだとこれが正解なのかもしれませんが、ホラーだとあまり過剰に説明を重ねられると恐怖はなくなってしまいます。
人外:これは逆に初手からフックが効いていて良いですね。
少年の瞳に焼き付いた鮮烈な光景から始まる物語。
気になるところとしては一つの文章が長くて、若干目が滑るところでしょうか。
句点、思い切り使っていいと思いますよ。
あと感情を地の文で直接的に説明しがちなのが惜しいですね。
折角なら動作、表情、本人のセリフなどで表現できるともっと盛り上がると思います。
このパワフルなオチはセンスに溢れていると思います。すごく好きです。
ただ、このオチに至る情報が作中でもう少し強調されていたほうが、アンフェアな感じが無くて好きですね。もしくは地の文でしゃべるんじゃなくて、何かの方法でお兄さんがわざわざ説明してくれると親切かなと思いました。
巨乳:どことなく幻想的で妖艶な雰囲気を感じさせるい怪奇伝に近いタイプのホラーなんでしょうか?
ろじさんが書く人外は、えっちで色気があって大好きなのでとても楽しく読めました。
「そして拓哉や秀一にとっては初めてだろうこの危険な肝試しは、裕樹にとって最期の一回」と書いてあるのに、巻き込まれて拓哉や秀一も死んでしまったのは明確に提示された七不思議の「午後四時四十四分に、三日間続けて同じ交差点の横断歩道の白線だけを渡り真ん中で止まると死ぬ」のパンチ力が減ってしまう気がしました。
なので、少し説明的になってしまっても黒い人か誰かになんらかのネタバラシ的なことをさせてもよかったのかなーとも思ったんですが、ホラーなので理不尽な暴力が関係ない人も襲うんだよ!という思いを込めているのだとしたら、理不尽の種や不穏の種をもう少し作品内で植えておくと最後に花が開いて怖さや不気味さがもっとよく出るかもしれないです。
ろじさん、本当に良い人外を書くし、ゴージャスで荘厳な文体があってると思うので今後もいろいろな作品を書いてくれるのを楽しみにしています。
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