「ヴィオラ弾きとお人形」灰崎千尋
黒人:ゴシックでメルヒェンな雰囲気の語り口と舞台設定に引き込まれます。
この耽美な雰囲気の文体に人形というホラーアイテムを掛け合わせたのは大正解だと思います。
恐怖度としてはそこまで高くないんですけど「こういうホラーって美しいよね」という感じに仕上がってます。
切なくて美しい話でした。少女に感情移入してしまい、人魚姫のような切ない読後感が残りました。
人外:クソオトコが奇妙な事件に巻き込まれてひどい目にあうのは古式ゆかしいホラーの筋として世界各地で愛されています。
文章の雰囲気が良い意味で独特で、空気感が形成されているので、あとは思い切ったフックやアッと言わせるオチみたいなのが入るとポーンと伸びていく気がします。
僕はケレン味のあるエンタメ作品が好きなのでこんなこと言ってますが、別にこれはこれで良いものだと思うので、まずは自分のセンスを大事にして、なんか新しいことを試したくなったら今の話を思い出してみてください。
巨乳:第十回本物川小説大賞では見事なメガネ描写でメガネ賞を射止めた作者さん。
熱帯夜もそうだったんですけど、千尋さんが描く会話はなんというか、すごく「生きている」感じがして、登場人物同士の掛け合いを見るのが好きです。
今作では、最初は好意的に接してくれる新人の男と少女のやりとりが徐々に嫌悪へ変わっていく様子が丁寧に描写されていました。
戻ってくる人形のホラーというのは多分結構たくさんあると思うのですが、絵本の世界のような語り口で展開していく世界観で、最後に「あふれてしまった」ことで行動を始めた人形が不気味でとても怖かったです。
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