芦花公園ホラー賞講評

「宝探しゲーム」あさって

　黒人:暗いところ×子供！ホラーの王道ですね。

　ストーリーラインもかなり王道で、きちんと手順を踏んで作られているので面白かったです。良くも悪くも王道なので予想外の恐怖というのはなかったのですが、セオリーに則ってきちんと書く姿勢はすごく好きです。ありがとうございます。

（主人公の職業が不動産屋ということで私の大好きな家系ホラーだと思ったんですけどそこだけは予想が裏切られましたね）

　小さい集団（虫でも小動物でも子供でも）に襲い掛かられる恐怖みたいなのはわりと普遍的で、皆が怖いと思います。その描写はとてもよかった。

人外：う～～～～～ん？　読者としては次へ次へ読み進めるモチベーションが無いというか。知らない人がいきなりなんかろくでもないことに巻き込まれても特に興味が出ないと言うか。主人公別に見ていたくなる人物でもなかったし、共感できる人物でもなかったので、いまいちでした。

　とはいえ、共感なんてふわっとしたものを求めても仕方ないので、主人公をもう少し魅力的に描くことと、描写のわかりやすさを意識するだけで同じ話でももう少し違うと思うのですが。主人公に感じた違和感はなんでしょう。なんというか、危機感が無さすぎるのが興味を失っていく理由のような気がします。

巨乳：最初は「おっ！住んだら死ぬ系のお話かな？」と思っていたのですが、家が本体ではなく、落書きが本命でしたのパターン。

　とてもおもしろくて、躍動感のある話で、絵が付くともっと強烈なお話になりそうだな－と思いながら読めました。

　前半にある主人公の不動産系あるあるをもっと話の根幹に絡めるか、宝探しの落書きの話を冒頭に持ってくると読者も作品に対して没入感を深められるかもしれないなと思いました。