「キジトラの猫」神崎赤珊瑚
黒人:猫の魂は9つある、という逸話から着想したお話なのでしょうか。
猫っていうのは和洋を問わず怪談ではかなりポピュラーな存在ですよね。怪談アイコンとしての猫の魅力が遺憾無く発揮された作品だと思います。
主人公が自分の罪に対して一切呵責の念がないのもかなり不愉快ですね。(褒めてます)
人物や風景の描写が細かいので脳内でかなり鮮明なイメージが浮かびました。
怖い上に道徳の教科書に載せたいようなそんなホラーでした。
人外:シンプルに纏まっていて好印象です。7500文字なんですけど、5000文字ギリギリくらいに感じるほど読みやすい。
クソ野郎が殺した猫に祟られる。
文字にすればこれで収まるこのシンプルさを丁寧に丁寧に描いたのが非常に好印象でした。
クソ野郎はクソ野郎なんですが、丁寧に描写されることでクソ野郎に入り込めるんですよね。
この没入感が恐怖を駆り立てる鍵で、クソ野郎が社会的に死ぬ様に強く恐怖を感じ、物語が面白くなるという構造になっています。
お話って色々工夫とかどんでん返しとか意表を突くとか妙なワードで目を引くとかやりたくなるんですけど、結局真摯に視点人物の気持ちに寄り添うのが一番強いですよ。
個人的に一推しです。
巨乳:田舎には猫の死体!赤珊瑚さん、本物川小説ももも大賞では百合のイメージがつよかったんですが、ホラーもいけるんですね。
うわーーーー!めっちゃ怖い…めちゃくちゃ不気味。
もう怖い以外の言葉が無くなってしまう。どこからおかしかったの?ってなるけど、女を殺した時点でそもそもおかしいし、何も信用できない。
主人公の男がとことどころクズなのも、最後にスカッと出来るところもめちゃくちゃよかったです。すごい。
クズな人間同士が関わった結果最悪になるお話が好きなのでこれもう「よかったーーー」意外ないですね…。
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