「時の鏡通過検出機」木船田ヒロマル
黒人:大変いいです(大変いいです)
まず安定の文章力でひっかかりなくサラサラ読めます。
ヒロマルさんお得意のSFかな、と途中までは思って読んでたんですけど、ラストはどんでん返し、完全にホラーでした。
鏡は和では神聖、洋では魔性として扱っている作品が多く、これもまたポピュラーなアイコンなんですよね。今回は(意図的に行われたのかは分かりませんが)どちらの側面も活かしていたと思います。
この話の後、木船田青年に起こる色々なことを想像してしまって怖いです。いつか絶対出てくるでしょ。こっちからあっちに行けるんだから。
あっちにいるあいつらなんなのか。何が目的なのか。誰が置いたのか。
人外:絶妙さとして鏡の向こうの何かが本当に別の時代のものなのか、それとも擬態したやばいものなのか、はっきりわからないことなんですよね。
M君を殺した何かは間違いなく人間にとって害のあるもので、彼らの世界が私たちの世界に確実に繋がっている。
思春期の夏に起きた事件の一つが人間の生き方を決定づける。
キャラの名前を自分のペンネームにするやり方も短い文字数で臨場感を大きく稼いでいるので実に巧妙だと思います。
主人公の感じる名状しがたい不安が自分の胸にも迫ってくるようでした。
で、こういう作品であると分かると冒頭の
「この話は、こんな機会でもなければ、一生秘密にするはずだった。僕には今家族もあるし、何かの繋がりであらぬ疑いを掛けられて、仕事を失ったりするわけには行かないからだ。」
がにわかに不穏な味わいを増してきて、更に良さが増していく。
個人的に一推しです。人外幼女が出ていたら危なかった。
巨乳:田舎でなにか起こるシリーズ!
ホラー関係なく、それぞれの田舎描写が違って面白いですね。田舎にも文明のある田舎と畑しかない田舎がある…。
おっ!これはホラーだけど甘酸っぱい感じかなー?ヒロマルさんやるなーと思ってたら裏切られた!裏切られた!
気持ちのいい裏切り方と、これから先ヤバいことが起きていくであろうラストがとてもよかったです。
お祖父ちゃんが入るなって言ったのは、かつての主人公の少年のようにあちら側へ行った誰かを見たからなんですかね。
これ、下手したら次の犠牲者は主人公が恋をしているAちゃんでは…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます