芦花公園ホラー賞講評

「誕生日の贈り物」味付きゾンビ

　黒人:ゾンビさんもカクヨム初投稿の方です！嬉しい！ありがとうございます。

　最初からずーっと不穏な空気を纏って進んでいく少女の日記。

　結構読み進めないと何も起こらないんですけど、「なにも起こらないことことこそおかしいのではないか」と思わせる手腕はさすがです。

　で、最後にワーッと来るんですけど、特に説明はないものの何も起こらないからこそ文章の隅々まで見落とさないように読み込む（読み込まされる）ため、何がどうなったのか分からないということはないんですよね。

　ラストの記録は知識がないと書けないものだと思いました。面白かったです。

人外：良いですね。

　主人公の女の子がこの法則に最後まで気づかないのが実に良い。

　あと年齢に応じて徐々に書き方が変わっていく演出も良いと思います。

　どうしてもブツブツ切る構成になってしまうせいで没入感が薄れるのが弱点ですけど、日記ということで主人公にフォーカスされているので無視できるレベルです。

　何より日記読みすすめるの好きなんですよね僕がクトゥルー神話好き男なので。

　いや、マジで、良いんですよね。

　強いて言えば最後の報告書パート……も良いよなあ。

　だめだ。僕は好きすぎて改善点を伝えられない。他の二人に任せます。

　最初は「ん～いまいちピンとこねえなあ～」と思ってたら一発食らってしまったので今回は潔く敗北を認めます！

巨乳：誕生日プレゼント！お願いが全部叶ってハッピーエンド！

　じゃあないんだよ！！！！

　日記帳で書かれた作品なんですけど、もう最初のちょっと幸せな描写から嫌な予感しかしてなくて最悪でしたね…(褒めてる)

　これから絶対嫌なことが起こるぞ…と覚悟して読んでたんですが、わーーーってゆうこちゃんがなったあとスッと一行で淡々と告げられるプレゼントの結果が本当に怖かったです。

　最後の淡々とした現実世界での「結果」だけお出しされるのめちゃくちゃ嫌な感じでした。

　この日記の皮をかぶったホラー、行頭下げなしの石版芸が活きてて本当に怖かったです。

　内蔵を直接殴ってくるようなハッピーエンドホラーだ…。