「ぶち」和泉真弓
黒人:タピオカブームがホラー小説にも到来したんですね。
という冗談はさておき、私実はトライポフォビアなんです。とても気持ち悪かった。というかこれ、トライポフォビアじゃなくても気持ち悪くないですか?
冒頭、何も起こっていない状態で既に主人公の女性の立ち昇る「メンドクサイ女」感、案の定物語が進行するに従って加速していきます。哀れな女性という見方もできるんですけど……
登場人物の誰も明確な悪意を持っているわけではないのに事態がどんどん悪い方へ加速していく恐ろしさ。不妊という女性にとってかなりデリケートな題材も相俟ってひたすら圧迫感がありました。
個人的に「円」という少女のクソガキ感が一番心に打撃を与えてきました。こういう原始的残酷さを持った子供っていますよね……結果的に円の存在が凶行のトリガーになってしまうというのも分かる、という感じで。
和泉さんこれが初ホラーだと伺ったんですけどちょっと信じられません。私これイチオシですね。
人外:これ読んでる間だけ女性になりたかったな……。
いや、男から見ても面白いんですが、これ女性視点で読みたいですよこれ。
女の物語じゃないですか。女の物語を女の視点で読みたいですよそりゃあ。男として読むのも悪くないんですけど。
主人公が狂気に落ちるホラーって主人公と読者の距離が近いほどにクルじゃないですか。
そういう意味で近い立場でゾワゾワしてみたかったと言うかなんというか。
そうですね、僕は円ちゃんが妊娠するところも想像してゾワゾワしてしまいましたね。あまりに異常な状態に、神とも魔ともつかぬ超越的ななにかの影を強く感じると言いますか。これは僕の直感ですが、道央の山奥にある秘境とかの温泉宿がこれの舞台に違いない。
今回の僕が出した作品の上戸兄妹がこの宿行って死ぬほどセックスして欲しいなって思いました。あいつら人間みたいな面してるけど人間じゃねえから十つ子くらい平気だよ。半分くらい人間の姿してないかもしれないけど。メッチャ面白かったです。
巨乳:前半から勝代さんが気持ち悪くて最高ですね…と思っていたらそこからフルスロットルでどんどん加速していく勝代さん…。
モノノ怪というアニメ作品の座敷童子回とちょっとだけ近い雰囲気も感じていたんですが、そんなことより勝代さんが本当にヤバい。
自分はつわりはそんなにひどくなかったのですが、つわりの描写も気持ち悪さと異常さを掻き立てるザワザワとした雰囲気を作るのに一役も二役も買っていて不快感と不穏さマックスでホラーとして読んでて本当に「うわーーー」ってなりながらも読む手が止まらない…という感じでした。
初めてのホラーでこれは強すぎません?これからも機会があればホラーを書いてみてほしいです。
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