ホラーです。
怪談の蒐集・田舎の因習・信仰や歴史などの要素がすべて一個の物語に集約していく、ロジカルで殴ってくる怪奇小説で、めちゃめちゃ怖いです!
そして、無料で読んでいいのか?と思わざるを得ない文字数とクオリティ。ものすごい知識量です。専門家の監修がいるのでは?と思いました。あと密度!密度!密度! ギリギリ8月13日に読めたのでラッキーでした。本当に無料で読んでいいんですか? 映画化してほしい。
私は怪奇小説とかは途中から謎解きミステリっぽくなるやつが好きで、「わからないもの」がわかるようになる過程にエクスタシーを感じるし、それが目当てで読んでいるトコロがあるのですが、「ほねがらみ」は紐解いても紐解いても未知が出てくるから怖かったです。
もっともっと大勢の人に読んでいただきたい小説でした!
「怖い話を集めている主人公の元に怪談が届く」、そんなごくオーソドックスな序盤から徐々に徐々に、じりじりと這うように忍び寄ってくるなにものか。
様々な怪異・恐怖譚と、解釈・考察が積み重なっていく。だがそれにつれて闇は強くなり、影は濃くなり、重みが増していく。
光が当てられたはずなのに、その異様さは逆に際立っていく。これは何なのか。一部は見えているのに全体像が見えてこない。
ああそうか、これは、巨大すぎるのだ。自分はこんなに巨大なものに相対していたのかと気づいた時にはもう遅い。引き返せない場所まであなたは連れていかれている。
虚構も現実も越えて、あなたの胸の内にぽこりと生まれるものがあるだろう。それが「呪い」というものだ。
ネットで読むことのできるホラーの中で最良のもののひとつだと思う。さぁ皆さん、読みましょう。
全くの偶然だった
なんの意図も作為もなく、たまたまTLに流れてきたこの小説に興味を引かれ、読み始めた
……読み終えたのが、8月13日だった
たまさかである
運命などではない
けれど、その事実が恐ろしいと感じた
恐怖を司る対象には、どうしても格がある
格が下がれば――例えばトイレの花子さんを戯画化して異世界にでも転移させてしまえば、恐怖というのはたちまち薄れる
かといって、具体性に欠ければ、それは単なる現象として雲散霧消し、畏れを育むことはできない
それを踏まえた上で、この物語に関して、そう言った危惧は一切無用と告げておこう
怖い
はじめは漠然とした何かが
やがては認知した何者かが
ふいに自分が知る日常にとけ込んだ概念と結びついていく様が、たまらなく恐ろしい
尻すぼみの恐怖というのはよくあるし、スロースタートな作品というのも多く見る
けれど〝これ〟は、はじめから最後までずっと怖いのである
盛り上がりのピークにて物語を締めくくる手腕へ、私は万雷の喝采を送りたい
傑作である
ぜひ、あなたも恐怖を目にされるとよいと思う
面白い。引き込まれ、謎が深まり、夢中になって読んでいて、ふと気づいたんです。今日は8月13日だと。
そして、作中エピソード名が「8月13日」だということにも。
その時は、さして気にしなかった。夏の話だよなと。
しかし、次もその次も「8月13日」なのだ、エピソード名が。そんなバカな。
どうなっている。もしや、自分はいつの間にか、この作品世界に取り込まれてしまったんじゃないかと、心底戦慄した。何が起きている。
「月遅れ盆迎え火ですよ」
と、聞こえたような気までした。
「まだ過ぎていない」まだ8月13日のまま、読み終えてしまった。。。
さあ、13日のうちに読み始めてください。今日でないと体験できません。
僕は、「ホラー」というものを読んだことがないのです。怖いのが苦手というのもあるんですが、「よくわからない」って言ったらいいのか。
僕が人生で読んだことのある「ホラー」というと小野不由美の『魔性の子」だけだと思うんですけど、あれは十二国記シリーズの中の一作として読んだのであって「ホラー」を読もうと思って読んだのではないし、読む前からオチを知っていたので特に怖いとは思わなかったんですね。さらに言うと、あの作品で描かれていた恐怖は、僕が十二国記の世界観を知らずに読んだとして怖いと思ったかどうか。
「怪異の正体を知っているのであまり怖くない」というだけでなく、たとえ僕が「魔性の子」を十二国記の世界観を知らずに読んだとしても「怪異の正体が分からないにしても、だから何なんだ?」という気持ちになってしまう(ような気がする)。
怪異が存在するという設定の世界観で怪異が存在するのは当然のことであって、それを怖がるという感覚がよく分からない、というのが正直な気持ちだったりします。それでも僕が「魔性の子」という作品をそれなりに好んでいるのは、それが十二国記シリーズのひとつであり、シリーズ全体のテーマと結びついているからであって、実際のところあれを怖いとは思ってないし、作者の恐怖を描く力量が優れているとも感じたことはありません(小野不由美の有名な『残穢』とかを読めばまた違う感想を持つかも知れないけど、今のところそれを読む予定はない)。
そういうわけで、僕にとってはこの作品が「ホラー」というジャンルの初体験だったと言って良いわけですが、いやぁ…怖かった…本当に怖かった…
何なんでしょうね。怪異の正体には、割と早い段階で気づきました。でも怖い。怖いんだけど先が気になって読むのをやめられない。「ホラー」というジャンルに全く縁が無かった僕ですけども、『ほねがらみ』を読んでホラー好きな人がホラー作品をどう楽しんでいるのかは少し理解できたような気がします。
怪異の正体に気づくことと、それが怖くなくなることは全然別なことであり得るのだなと。
正直なところ、この作品を分析したり考察したりというのは僕の手には余ります。というより、まだ読後の衝撃が収まらず、冷静に作品について論じられる状態ではありません。時間をおいてもう何回か読み直して、自分の中で消化しないとこの作品について何事かを語るということはできそうにないです。それくらい、巨大な質量を持ったコンテンツだと思います。僕は高校の教員ですけど、授業でこれを解説しろって言われたらちょっと無理ですねって答えますね。銀の匙の授業やるほうがまだマシです。
読み終わったら誰かに読ませたくなるって、これを読んだ人はみんな言ってますけど本当にその通りですね。ホラー好きの知り合いにお勧めしてみます。